06





翌日


「と、殿!!」
「はい、おはようございます。
……その様子ですと、騰が部屋にいないのですね?」
「し、失礼いたしましたっ。おはようございます!って、なぜお分かりに……」

「ンフフッ!勘ですよ、勘」

王騎は至極楽しそうに書を読み続けていた

「は、はぁ……」
「安心なさい。…すぐわかりますよ」
「?」






「チッ………なんで俺が」
「録嗚未様、おはようございます」
「はよー」

今朝、殿に挨拶に行った後で昨日の怪しい女を連れてこいと言われた。名前は…忘れた。分かりづらい名前だったのは覚えてる。

それよりも、昨日の話はあり得ないにも程があったが、隆国の言う様に他国のスパイだとしてはやり過ぎにも程がある。
そして、俺が一番気になっているのはあいつが持っていた不思議な形の剣だ。あんな物中華では一度も見た事がないが、一つは相当な業物だし、もう一つは山民族が使う様な形だがあれも相当な物だ。
あれらを扱う者……武人である事は確かか。そこはとても興味深い。


まぁ、それは腕を試せば否応無しに分かる訳で取り敢えずは早く言伝を伝えるか……













ドンドン。

「おい、女!殿が呼んでいる。連れて行ってやるから今すぐ出てこい!!」





シーーーン。

「…………チッ。おい!!」

ドンドン!

再びドアを叩く。

ん?……誰かと話してる声が…………
あいつ!!


「貴様っ女ぁ!!やはり、他国の隠密か………………………………」


ドアを蹴り開け、剣を抜き構えると
床に頭上で両手拘束されている顔を青くした昨日の女と、それに覆い被さる我らが軍の副官の騰……

思わず俺は、剣を落としてしまった。


「……録嗚未」
「…………」
「どんな時であろうと、剣を落とす事は許され「そこを離れろお前ェェ!!!」ぬぞ」
「…あらー…」







「録嗚未さん、勘違いなんです!」
「あ?」




私達はなぜか部屋の中心に正座させられている。ちなみに私達とは私と騰副官の事。目の前には録嗚未さんという方が仁王立ち。

朝からだな…
人が……など何やら呟いている。


「何が勘違いだ。俺はお前に騰が襲いかかってるようにしか見えんかった」
「それは……
「羨ましいか、録嗚未」
「ちげーよ!!」
「だから……
「ココココッ!」
「殿の真似をするな!!」

「……テメェら、きけェェ!!」


ドゴッ




……というわけで、昨夜私のワガママで刀を部屋に置かせて貰って私が何かしでかさない様にと騰さんがいてくださいました。すると朝起きたら騰さんが隣に寝ておりましたので私が知らない男と勘違いしてしまい抜刀したところ抑えつけられたという事です。……わかっていただけましたか?」


床に落ちていた私の相棒で録嗚未さんの首に突きつけ両手を拘束し、早口で話終わるとニコッと笑いかける。

「……なんで俺が……」





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