seasons of love




人を探して歩いていた。

ある目的のために



「録嗚未様」

「?」


柔らかに微笑む娘の優しい声色は武人が行き交うこの場にはとても不似合いだが、
振り向かずとも誰かはすぐに察しがついた。


程よく煌びやかな装飾、服に身を包み
20代そこらのその娘はよくこの場を出入りしていたし、この場ではとても重要な人物でもあるからだ。


「どうしましたか?」



録嗚未は幼少の頃からよく知っている仲ではあるが、彼女と話す時は少し優しい雰囲気になっている事は本人も知らない。

これもこの娘の変わらない優しく柔らかな笑顔がそうさせているのかも知れない。


「お忙しいところ、申し訳ありません。少し伺いたい事がございまして…………」





「…あ?騰の欲しいもの??」




彼女の旦那様の騰を喜ばせたいが、
本人に聞くほど野暮な事はない。どうか少し驚かせる形であれば騰も喜びは大きいだろうと。

録嗚未は顎をさすり眉間に皺をよせ考え始めるが、言葉として出てきたものは


「弓隊を増やしたいとか…か?」

「それは私の力ではどうする事もできませんわ」



録嗚未の解答に思わず笑みが出てしまったが、だよな…と言いながらそれでも真剣に考え続ける。


「録嗚未様、有り難うございます。
もう少し私も情報を集めようと思います」





明るい笑顔に思わず見惚れてしまった録嗚未はその場に留まり、去っていく後ろ姿を見つめていると
彼女は何かを思い出したかの様に振り返り、また目の前に戻ってくる。



「録嗚未様修練頑張ってくださいね。


騰様は貴方をとても頼りにされていらっしゃいますから」


手を掴み、真っ直ぐ真剣な眼差しでそれを訴える娘に驚き言葉の意味も含めその場に思わず立ち止まってしまった。

何か胸の真ん中が暖かい…



と感じたろくおみでした。







「隆国様!」


隆国が、の後ろ姿を見つけるとまた優しい笑顔で呼び止め録嗚未の時と同じ質問を投げかける。


「騰様……情報ですかね?」


「…………そ、それは、、…わたしにはどうする事もできませんわね」


「確かに難しそうだ」





真面目な顔で二人でその場で悩み始める、その姿はとても愛らしかったそうな。


















「お疲れ様でございます」


「ああ」


騰が自室に戻ってくると部屋着に着替える手伝いをしながら今日どんな事があったかを話すのは日課だった。

でも今日は……


「では、騰様こちらへ!」

「………?」

彼女が座るそこは、庭にすぐに出られるようになっている場所で広く開けられる事ができる場所だった。


彼女の隣には晩酌が用意され、
月見酒でも呑むのかと隣に腰掛けると「いいえ、こちらですよ?」と彼女は自分の正座をしてる脚を指して微笑んでいた。



「…膝枕か?」

「はい!」


とても明るく楽しそうな笑顔に素直に従う騰は仰向けの状態で寝転ぶ事にした。



「騰様」



膝に頭を乗せるとすぐに頭に彼女の手がのり髪筋に合わせて優しく撫でる仕草が何処か心地よく自然と目が閉じる

騰の返事を待たずに呟く様に話し出した。


「今日は夜風も心地よく
星も綺麗に輝いている。素敵な月夜ですね

庭の梅も咲き始めていますよ」


「……そうか。もうそんな季節か」


「はい。一年は早うございますね」




騰からの返事はないが脚に重みが増したので緊張が解れてきているのかなと感じた。



「王騎様が亡くられて、騰様は気を重んじでばかりいらっしゃる気がしております。

なので、皆さまから貴方様の好きな事をお伺いしていました!



…ですがなかなか良い案が出なかったので
この様な形になりましたがいかがでしたでしょうか?」



仰向けに体制が変えられ、一度目を開くと彼女の頬に手を添える。







「悪くないな」

「それは、良かったです」



その吸い込まれる様な目は真っ直ぐ向けられ、優しい声色で騰の方から名前が呼ばれる


「またお願いしても良いか?」

「ええ。もちろんです」



頬に添えられた手に自分の手を添え、すがる様にしていると


何処か愛しくて嬉しくて、彼の手で自分の顔を隠してしまった。









seasons of love
from RENT

あなたは人生の中で一年という時間をどのように計る?


愛ではどうだろうか?
愛の数で計ってはどうだろうか?



愛という数で計るんだ。 






次の日、
弓隊応募の人が押し寄せていた事と


周りで嫁の株があがっている事に小さく笑みを漏らす騰がいたとかいないとか。





おわり。

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