ピオニー/幼少時、捏造設定あり
蛇。いつの日か誰かを殺すのであろう蛇、あるいは蛇が殺されるのが先か。蛇は嫌いだ。黄金時代とも言えた幼少の頃を過ごした真っ白に塗りつぶされた街には蛇なんででなかったけれど(低い温度だったからのように思うが実際はどうか知らない。幸運にも巡り合うことがなかっただけということも充分に有り得る。)実の母親は蛇に殺された。正しくは蛇に殺されたのではなく他の誰かが蛇を使って殺したのであるが今となっては一体誰が殺したのかも分からないままであるから蛇に殺されたと表現するしかない。毒性の強い毒蛇だったそうだ。軟禁されたのはそのあとすぐであったように思う。何せ幼い子供の記憶であるので少しは前後するかもしれないがただ、母親が死んでから移動したのだけは確かである。
母は優しかった。優しかっただけに、どうして殺されたかが分からなかった。おそらく母が死ぬことすら文字の羅列として認識していたのであろうダアトを恨んだこともあった。だがしかしそんなものは子供時代の感傷だ、今に関係はない。母はどこか穏やかで、優しく、そして聡い人であった。もしかすると薄々気付いていたかもしれないし誰かから聞かされたのかもしれないが子供の時によく「もうすぐだから、お前だけは最後までかあさまの傍にいてね」と言っていた。そのときは理解する事どころか認識する事さえも放棄していたのでなにも考えずに肯定の返事をしたことを覚えている。
嗚呼、どうしてあのときにもっと良く考えておかなかったのだ!もっと良く善く考えておけば何かが変わったかもしれないのに!もっと早くに預言が覆りさえしていれば!
ありもしないことを望んだ。望んで、みた。無駄だった。第一その頃にはまだ聖なるほむらの光りだかなんだかは生まれていないだろうしその聖なるほむら、嗚呼、やめだ!もう、いい。まだアッシュ(預言に忠実にいうのならアッシュだろう。ただしルークといえなくもないのが難点だ。)は生まれていなかっただろうしルークなんてもってのほかであった。(だいいちルークが生まれたのはたったの7年前だ。)即位こそしていないがその頃にはすでに軟禁生活から抜け出し、グランコクマに帰ってきていたし、またジェイドの性もカーティスになりそして軍人になっていた。
預言が覆っているはずもない、時期が早すぎる。物語が、加速しすぎる。淡泊な言い方になってはしまうが母が死んだ事 それは、別に良かった。悲しかったがそれと同時に全く平気でもあった。
仕方のないことだ。人、が、死ぬ。ごく当たり前のことである。むしろ死なない方がおかしい。(そんな事は分かっていたが幼い頃は理解が追いついて行かなかった。)
そのときばかりは、比喩でなく、確かに、自分に、とっての、世界が、ひとつ、崩壊、した。
【初恋センタチシリズム】
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