ギロクル+ケロロ
もはや日課となっている武器の手入れをしていれば何の前触れもなくテントの入口が開き、緑の幼馴染みが遠慮無しに入って来た。
「ギロロー、ちょっとこれどうにかしてほしいでありますよ」
「クルルが何かしたのか?」
「いや、なんていうか一緒に呑んでたら潰れちゃってさー。じゃあここ置いて行くからあとよろしく」
床にクルルを放り出して脱兎のごとく走っていくケロロ。確かにクルルが潰れるほど呑むのは珍しい事ではあるが、ただ眠っているだけのクルルほど無害なものはないはずだ。
床に放り出されたままの体勢で眠っているクルルにそっと毛布をかけ、眼鏡をはずしてまた武器の手入れに戻る。
小さな吐息と共にクルルが目を覚ました。目を擦りながらのろのろとぼんやり辺りを見回すクルル。
「起きたのか」
「せ、んぱい?見えねぇ、眼鏡。」
真正面に座り込み、的外れな方向に手を差し出すクルルに眼鏡を手渡す。眼鏡をかけてから一息吐いてからのろのろとこちらを向いて、いきなり抱き付いてくる。予想外のできごとにバランスを崩し、はからずも押し倒される形になる。
「せーんぱい、俺先輩の事嫌いじゃねぇぜ」
上気した頬に潤んだ瞳、薄く開いた艶めかしい唇、どこからどう見てもただのタチの悪い酔っ払いだ。
「分かったからもう寝ろ」
「うるさい!ギロロ先輩は俺の事嫌いだろ、なあ好きって言えよ」
「嫌い…ではないな」
「じゃあ好き?」
「それはだな、その、ほら、な!」
「意味分かんねぇ。先輩が好きって言ってくれるまでずっとこうしてるからな」
身体に覆い被さって駄々をこねるクルル。しかしその身体はさして邪魔というわけでもなく、ましてやこれから寝ようかと考えていた分余計に邪魔にならない。
それに口ではああ言っているがクルルの瞼はふらふらとゆっくり上下して、今にも眠ってしまいそうだ。このまま放っておいても勝手に眠るだろう。
それからしばしの間沈黙と睨み合いが続き、その睨み合いはまるで始めからそうだったように終わった。その保たれていた沈黙さえ打ち破る。
「…好きだ」
口に出してみた不馴れな言葉はやはりどうにも不格好で、言うべき相手も眠っていては意味を成さなかった。
ゆっくりと頭を撫でながら見つめるその顔は日に当たらない為に白く、不健康そうな色を見せている。
その不健康そうな顔にそっと唇を寄せ、耳元で嫌いじゃない、と小さく呟けばやはり好き等と言う言葉よりかはいくらか似合っているふうに聞こえた。
俺に似合わない言葉を求めた主は瞼を閉じたままじっと息を潜めていた。
おまけ
「クルルってばあんな赤ダルマのどこがいいんでありますか?ずば抜けて格好いいわけでもないしー、不器用だしー、疎いしー、かませ犬だしー」
「隊長には分かんねぇのかよ、ギロロ先輩は格好いいし、変な所だけ器用だし、微妙に聡いし、俺には優しいんだよ」
「うわー、我輩惚気話は聞きたくないであります」
「な、惚気てねぇ!」
「だってクックルくんてばギロロべた褒めじゃん、説得力ないでありますよ」
「にょーん」
「あー分かんないなー、どう考えても我輩の方が格好いいじゃん!」
「それはない」
「即答なんてひどいであります」
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