女の日常


私が大嫌いな子供が道を走り回っている。迷惑にも程がある、一層の事私の今乗っているこの赤い自転車で轢いてやろうか!(ちなみに名前は流星号だ。)死ね、と小さく呟けば騒いでいる子供達の母親らしき女がぎらぎらと粘つくような瞳でこちらをねめつけた。それほどまでに子供が大切ならしっかりと首輪でもつけて手綱を放さなければいいのに。というよりも躾をしろ、今のは子供に対して文句を言った私よりも騒いでいる子供を叱らない親が悪い。
懐かしいようなメロディがなり、信号が青に変わったところを見計らい、勝手気ままに走り回る子供達の間を流星号でうまくすり抜ける。轢いてやろうかとは思ったもののそんなことをしては子供のことを大切にしているらしい過保護面をした面倒な親に因縁をつけられるだろうし万が一騒ぎになったとしたところで悪いのは100%以上の確率で私になる。そんな事を考えていたところで子供たちの後ろで堂々と居直りをかましていた母親達が最近の若い子は、なんて言い出すものだから困った。(貴方達の考えが古すぎるだけでしょ!)
耳にしつこく残る母親連中の会話を振り切り流星号を走らせていた私はどこかから鐘がひとつなって今日に限って辺りを散策してみようと普段とは違う帰り道を選んだ自分をひどく恨んだ。(どうして、よりにもよって!)私の目の前には唯今大量の保育園児達が群れをなして時には母親にしがみつきながら通行の邪魔をしている。すっかり忘れてしまっていたが、たしか今勤めている会社に入社してすぐ先輩にこの時間帯にこの道は通らない方が良いと忠告を受けていたのだ。何故だか不思議に思ったままわけを聞くこともしないでどうせ家に帰るのに一番近道になる道しか通らないからと高を括っていたのは他でもない私だ。
ああ苛々する。もうしばらくは園児の前から動けそうにない。苛々する。私は堪らなくなり、ひっそりと爪を噛んだ。それを見ていたうちのひとりが母親らしき女に「おかあさん、あの人爪噛んでるよ。駄目なのにね!」などと零しているものだから余計に苛々した。これだから子供は嫌いだ。
素直で、純粋で、真直ぐで、親を鏡に育つものだから親とそっくりに出来上がる。(そういえば私の母も子供が大嫌いだった。だからわたしは母ではなく父と浮気中のお手伝いの女に育てられた。)
やっとまばらになってきた園児達の間をまた流星号ですり抜ける。今更ながらに母の言葉が脳内にフラッシュバックする(お前なんて生まなければ良かった!)それに心の中でだけ舌打ちをした後で馬鹿らしい、と小さく呟けば母の面影は自然にフワリと消えた。






ひどく最低な平日の午後




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