ギロクル/R18
「くそっ、扉も壁も頑丈で開きそうにない。そっちはどうだ、クルル」
「ククー、余裕に決まってんだろ、って言いたいとこなんスけど……お手上げッスね」
「そうか……」
真っ白な壁紙に真っ白な床、窓のない部屋の中には真っ白なベッドが一つとその横に小さな戸棚が一つだけの不思議な空間に閉じ込められたのはつい1時間前の事で、その部屋の唯一の出入り口であるドアに“セックスしないと出られない部屋”なんてふざけた文字を見つけたのもつい1時間前の話だ。
クルルとふたりっきりで閉じ込められたのは不幸中の幸いだったが、こんな誰が見ているのかも分からないような不愉快な空間で、ドアに書かれているだけの真実味の薄い言葉に従うつもりもなく、各々自分の得意な方法で脱出を試み始めたものの、腹が立つほどしっかりした作りの部屋は未だ綺麗で真っ白なままだ。
ドアの前に座り込んでいるクルルの額には汗が浮かんでいて、お手上げと両手をあげるその仕草の軽薄さとは裏腹に、本当にクルルの能力を持ってしても開くことがないのだと思い知る。水も食料もないこの部屋の中でどうするかと、とりあえずクルルの横に腰を下ろせば、こちらを覗き込んでくるクルルの顔は至って真面目で、その顔に普段のからかいの色はない。
「した方が早いんじゃねえの?」
「何をだ?」
「セックス」
「な、……にを」
「クリア出来るミッションならクリアして脱出した方が早いんじゃないですか、って言ってんスけど?」
「俺は別に構わんが本当に良いのか?」
「良くねえけどまあ仕方ねぇんじゃねえの」
「……本当に後悔しないんだな?」
「クク、覚悟決まってないのはアンタの方だろ?俺が相手で不服だろうが、もう黙ってそこでじっとしてな」
「おい、クルル!」
クルルの事を、抱きたいか抱きたくないかで言うなら勿論抱きたい。言われなくても抱きたい。だが、こんなよく分からない部屋に閉じ込められて、その部屋から出るためだけに抱きたいわけではない。少なからずクルルの身体に負担をかける事を理解しているから、余計にそんな“手段”に使いたくはない。
どう口に出していいのか分からないでいれば、膝の上に乗ったクルルが膝の上で服を脱ぎ始める。本人に羞恥の色は全くなく、淡々と下着を取り払い下半身だけを露出させたその姿は本人の態度も相まって興奮を誘う。
上は着たままで、袖を通している白衣すら脱ぐ気がないようだが、前のボタンを閉めている白衣の下からクルルが動くたびに魅力的な生足が覗く。
「アンタは無理やり襲われた、それでいいだろ」
「良いわけがあるか!ちょっと待て」
「俺が嫌なら日向夏美の事でも考えてろよ」
「落ち着け!それに俺は前からお前が好きだと言ってるだろうが!」
「落ち着いてねえのはアンタだろ、それに俺は先輩の事なんて好きじゃねえから」
クルルの手がズボンのベルトに伸ばされ、勃ち上がりかかった自身を下着越しにやわやわと刺激しながらクルルが意地の悪い笑みを浮かべる。
「人の事止めるくらいなら勃たせてんじゃねえよ」
「う……それは……」
この部屋の趣旨からして、どこかに用意されてあったのだろうローションのボトルを手にしたクルル、が自分の下肢に手を伸ばすが、白衣に隠れたその奥は目視出来ない。好きな相手にここまでされてこのままじっとしてはいられない。
クルルの手からローションのボトルを奪い、驚いているクルルを抱き上げて、この部屋の中に唯一用意されているベッドまで運ぶ。ローションを手のひらにたっぷり出してからクルルの下半身に手を伸ばせば隠すように白衣の裾を押さえられ明らかに拒絶される。
「アンタはそんなことしなくていい」
「順番がおかしくなったがクルル、好きだ、愛してる」
「ハァ?ふざけんな!こんなクソみたいな部屋に閉じ込められて頭イカレたんじゃねえの」
「この部屋に閉じ込められる前からだ、安心しろ」
「もっと安心できねえ……」
「俺の事が嫌いか?」
「嫌い、でもねえけど」
「じゃあ好きなのか」
「んな事言ってねえ」
クルルの唇に顔を寄せるが嫌がられている様子はなく、どちらかというと戸惑っているように見える。大きなため息の後に躊躇いがちに口が開かれて、すぐに閉じる。何かを言おうとしている唇が言葉を紡ぎ終わるまで待ってやれる程の余裕はない。
「……俺は好きだ」
「じゃあ今だけ、好きって事にしてやるよ」
クルルの唇を奪えばさっきまでの否定的な態度が嘘のようにおずおずと首に左手が回される。憎らしい事しか言わない口を塞いで、クルルの白衣も中に着ていたシャツも全て脱がせてしまえば真っ白な肢体が姿を現す。つい見とれてまじまじと見つめていればクルルが恥ずかしそうに身を捩る。
「痛かったり嫌だと思ったら言え」
「言ったら止めてくれんの?」
「……善処する」
「クク、そこは嘘でも頷いとけよ」
クルルの身体を気遣うほどの余裕はないが、傷つけるつもりもなく、張り詰めた自身に眉を寄せながら精一杯の丁寧さでクルルの中に指を埋めていく。ローションの滑りを借りて、思っていたよりも簡単に指を飲み込んだクルルに、気をよくして二本三本と指を増やしていく。
「んっ……そこ……や、だ……」
「痛いなら一旦止めるか?」
「ちがっ……気持ちよす、ぎて……やっ……だ」
腕に縋りながら嫌だと言われて手を止めれば、甘い声と共にクルルの口から吐き出される言葉に、いつもの刺々しさはない。クルルの可愛いお願いは無視して、一度止めた腕をまた動かし始める。
「や……だって、言っ、て……んだろ……も、いいから……入れ、ろ」
「いいのか?」
「い、……いから、さっさと、入れろよ……」
クルルの後孔に自身の昂ぶりを押し当てて、傷つけないようにゆっくりと押し込んでいく。
すぐにガチャンと一際大きな音でドアが開錠されるが、そんな事よりも今は目の前のクルルだ。
「ちょ、先輩!開いたからもうい……んっ」
ゆっくりを自身をクルルの中に押し込めればクルルの身体が震える。眼鏡越しの瞳に涙を浮かべて、自分の手のひらを噛んでいるクルルの手を握る。
「もっ……ドア開いたんだから、抜、けっ……」
「後でな」
息を乱して苦しそうに喘ぐクルルの呼吸が落ち着くまで、動きを止めて汗ばんだクルルの額に口付ける。
「やっ……」
「気持ちよくないか?」
「ちがっ……、気持ちよ、くて……アタマ変に、なる……っ……おっき、くしてんじゃ……ねぇ!」
「そう言うなら煽るな」
「煽って、な……アッ、やだ」
クルルの中が搾り取るように蠢いて、奥へと誘うのを必死に堪えていれば、少し落ち着いたらしいクルルの腕が背中に回される。おもむろに背中に爪を立てられて、少しだけ顔を歪めれば、舌なめずりをしているクルルと目が合う。
「優しく、……して?」
大きく息を吐き出したクルルの中でまた自身が硬さを増して、クルルがまた小さく声をあげる。
「はぁっ……あっ、……あっ、おっき、い……ッ」
「頼むから煽るな」
クルルの中に吐き出したいという自身を余りにも早すぎるからと意地で抑えて、刺激が強すぎない程度にゆっくりと動かしていく。
「せ、んぱい、の……ビクビ、ク、してる……ンッ、アッ、せん、ぱい……イキ、そう?……イって、いいっすよ……ッ」
薄い胸を大きく上下させながら、生意気に笑うクルルの言葉の後に、小さく先輩意外と早漏っすね、という言葉が繋がれて、頭に血がのぼる。
緩やかな動きを徐々にではなく、一気に激しいものへと変える。抜けそうな所まで引き抜いては最奥まで深く押し込んでを繰り返しながら、クルルの乳首と陰茎にも刺激を与えていく。
「絶対に先に達かせてやる」
「くるっ……ひぁっ、や……だ、それ、や……だぁっ……あっ、ああっ、あっ、あっ……も、言わない……からぁっ……やめっ、やっ、だ……ッ」
達したクルルが精を吐き出せば、中を一際強く締め上げられて、耐え切れずにクルルの中に同じように精を吐き出した。惚けた表情のままぼんやりしているクルルの頬に、手を寄せてまた、すぐに硬さを取り戻した自身でクルルの中を穿っていく。
「いま、やだぁっ、……部、屋から……出た、い……あっ、んんっ……」
「気が済んでからでいいだろう」
「ふ、ざけんな……ま、た……あっ、鍵……かかったら、ど、うする、んだよ……」
「鍵の開け方は分かった」
「はぁっ……あっ……や、だ、あっ、ああっ、あっ……」
逃げだそうとシーツの海を泳ぐクルルの身体を押さえつけて、腕の中に閉じ込める。クルルを腕の中から開放してやれたのは、部屋に閉じ込められた翌日だった。
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