可愛すぎる



 非常に危機的なレポートの進捗具合。別の課題に関して義勇に電話で相談していた際に、それをポロリと零したことがそもそもの原因だった。
 迎えた当日の勉強会は、義勇の部屋である。彼女はこの状況をわかっているのか? 女の子一人暮らしの部屋に、男を呼ぶ? しかも元旦に? 拷問かなにかか?
 みょうじの脳みそはヒート寸前である。半纏を着込んだ義勇は、お気に入りだという炬燵で課題をしようと提案した。義勇の部屋は、ほんのりと甘い香りが漂っている。斜向かいに座る義勇の足が、炬燵の中で触れてしまう。
「足、冷たいな」
「えっ!? ああ、俺冷え性で――とっ、とみおかしゃん!?」
 返事をしている途中に、義勇の足が再び触れる。それも、完全に意図的に触れてきた。みょうじの足を擦るような動きで、義勇は足でみょうじに触れる。
「あっ、あああの、冨岡さん!」
「……ああ、足が冷たいのなら、きっと手も冷たいな」
 義勇の手が、キーボードの上にあったみょうじの手に触れる。ぎゅっと指を絡めるように握られてしまい、柔らかな白い肌に、みょうじはくらりとして泣きそうになってしまった。
「ほら、だんだん温かくなってきた」
 義勇は嬉しそうに、誇らしげに頬を緩める。みょうじの手は「ああああああああああ」とワードに心の叫びを打ち込んでいた。




short 望楼