支部のリビングでゴロゴロしていると先輩映画を見ましょうとブルーレイのパッケージを何個か持った龍樹が俺の服の裾を引っ張る。
龍樹が甘えてくるなんて滅多にないことなので乗ってやることに。
幸い、みんな出払っているのでのんびりできるのはありがたい。
「どれ見ますか?
あ、お茶入れてきましょうか?」
ワクワクといった感じで彼女は心なしか嬉しそうだ。
まあ、俺は全て結末を知ってて龍樹の反応も網羅しているのだが。
ちなみにラインラップは特撮、ゾンビ、スパイ、B級のサメだ。
特撮を選べば彼女の可愛い鼻歌が聞けるしゾンビものを選べば今夜眠れなくなって俺と添い寝する未来。
スパイものを選べばラブシーンにドキドキして顔を真っ赤にしたウブな表情が垣間見える。
B級のサメは一番無難な道だ。
俺的にはゾンビものが一番面白い未来なんだがスパイものも捨てがたい。
「選ばないのなら、あたしが選んでもいいですか?」
龍樹に選ばせたら無難にサメ映画になるぞと俺のサイドエフェクトが言っている。
ええい、こうなったらやけだ。
目を瞑って適当にパッケージを手に取る。
手にとったのはゾンビ物だった。
クリスマスというのにムードもへったくれもないなと苦笑いをこぼしながらデッキにセットする。
「あ、冷蔵庫にとってあるんだった。」
映画予告の最中、彼女が何か思い出していそいそと部屋を出ていく。
大方予想はついてるが無粋なことはあえて言わない。
暫くして映画の冒頭部分の彗星が流れて墓場からゾンビが蘇ってくるシーンに差し掛かった。
タイミング悪くお盆に2人分お茶とケーキを持った龍樹が悲鳴を上げる。
幸い、ケーキやお茶は無事だが彼女のメンタルは無事じゃないらしい。
「あちゃー、やっぱこうなったか。」
「読めてたのなら一言声かけてください!」
お盆を机に置きながら俺の隣に座る彼女。
手で顔を覆い指の隙間からチラチラ見る様子が意地らしいなぁと目を細めてその様子を眺める。
ふと俺の視線に気がついたのかジトっと睨まれ視線を逸らす。
「何見てるんですか…。」
「いやーコロコロ表情が変わる龍樹が珍しくてつい。」
「…ついじゃないです。
映画に集中してください。」
プイっと拗ねられる。
そんな表情も好きだと言ったら彼女は余計に機嫌を悪くするだろうか?
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