ワープ先で新型トリオン兵をなぎ倒していく。
 トリオン切れが近い事もあり全部は相手はできない。
 だがそれを嘲笑う様に敵の女性近界民はワープホールを使い、トリオン兵を追加していく。
「諦めの悪い人間ね。」
「…上等。」
 残りのトリオンを振り絞って振りかぶる。
 あっさり避けられるがそれが本命じゃ無い。
 氷輪を解除し、左手で有りったけのアステロイドを忍ばせる。
「なっ。」
「悪いけど巻き添いになってもらう!」
 ゼロ距離自爆覚悟の捨て身の攻撃。
 驚愕の表情だったが相手のトリガーを把握できてなかった。
 ワープの能力で彼女は消え、アステロイドは空を切る。
「ちっ、ここまでか。」
 手が文字化けしている。
 でも、ここでベイルアウトするわけにはいかない。
「トリガー解除。」
 ごめん、迅先輩。
 約束破ります。
 落下の瞬間、瓦礫に挟まってる泣いてる子がいた。
 もう2度とあの子のような犠牲は出さない。
「今、助ける!」
 瓦礫を取り除く。
 擦り切れる手が痛い。
 構うものか。
「怖いよ。ひっく…ひっく。」
「心配ないわ。」
 瓦礫を退かして中へと入り、抱き上げて子供を外へと出してやる。
 だが、改めて先輩の忠告を聞いておけば良かったと後悔する事に。
 建て付けが悪かったのか私が這い出ようとする瞬間、右足に鈍い痛みと重さがかかる。
「いっ…!」
「お、お姉ちゃん?」
「大丈夫だから。」
 痛む足を思いっきり引き抜き脱出する。
 折れてはいないがどうやら打撲しているらしい。
 足を引きずりながらも私はその子の手を引きシェルターを目指す。
 
 *
 
「さーて、お仕事お仕事。
 こちら三毛島、配置についた。」
『三輪隊の奈良坂君と古寺君、それに当真先輩もいるのでドンドン打っちゃってください!』
「はいよっと。月見ちん、ほかのスナイパーの位置情報は?」
 外部通信を繋げると三輪隊の月見が応答する。
『お久しぶりです。今送りますね。』
『腕鈍って魚に当てんなよ三毛島ちゃんよぉ。』
 意図しない当真の通信に笑みを作り答える。
「先輩をちゃん付け呼ばわりとかいい度胸だにゃ。」
 魚のトリオンの塊が敵を守るように囲んでいる。
 (息を殺して…1.2.3!)
 タイミングよく射出された弾は近界民の右肩を貫く。
「当てんのかよ。
 ウチのスナイパー共は変態だな!」
 出水のぼやきを傍受した三毛島が眉を潜める。
『出水ちん、レディに変態はないにゃー。』
「いやいや、十分こえーっす。」
『三毛島さん、出水先輩!集中してください!』
 古寺からのお叱りに攻撃に徹する二人。

 だが、それも束の間、新型のトリオン兵が送り込まれ狙撃隊も阻まれてしまう。
「ワープかよ。
 間合いもクソもねーなー。」
 冬島のワープで狙撃隊をワープさせ距離を取る。
 瞬間、足を引きずる龍樹と子供を見かけ驚愕する。
「月見ちん、悪いけどうちの隊員がピンチなようにゃ。一旦離脱で。」
『わかりました。お気をつけて。』
 ビルの上から飛び去る瞬間、龍樹を探していると遠くから三輪と空閑の声が響いた。
「「敵の位置を教えろ!!」」
 その瞬間、狙撃部隊のアシストと空閑の空撃が降り注ぐ。
 その瞬間、大きなワープゲートが空を裂くように登り、曇天が晴れていく。
 それは終戦の合図でもあった。
 三毛島はそれを見届け、眼前の先に子供と後輩を見つける。
「龍樹ちん!」
「三毛島先輩、この子をお願いします。」
「ぼ、僕よりお姉ちゃんを。」
「よっと、僕は歩けるにゃ?」
 急に足に手を入れられ、横に抱えられる龍樹。
 少年は元気よく返事をし歩き出す。
「なっ、せ、先輩おろしてください!」
 恥ずかしくなって暴れると三毛島はキッと睨む。
「隊長命令にゃ。
 医療班に見せるまで罰としてこのまま運ばれるにゃ。
 後、この事は迅ちんに報告するから。」
 それだけはやめてくださいと龍樹は力なく項垂れるのであった。
 
【To be continued】
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