シャンデリアを壊した罰として洞窟で魔法石を採掘してくることに。
「なあ、ルイーザ。
なんで暴れてないのについてきたんだ?」
デュースが不思議そうな顔をしてルイーザに聞く。
「あーそれも俺思った。
お前相当物好きだよな。」
エースもケラケラ笑いながらルイーザの肩を軽く小突く。
「小生、別に君らを見捨ててもよかったんだけど後々恩義を着せておくと何かと楽かなって思ってね。」
生意気な笑みを見せるルイーザ。
その笑みに二人と一匹はバツが悪そうに視線を逸らす。
先頭を歩くアリシャが振り返る。
「何してんの?」
「べっ、別にー。」
「ああ、何でもない。」
「本当に本当に何でもないんだゾ。」
浮いているグリムが一番怪しそうに視線を逸らす。
「ならいいけど、退学になりたくなければさっさと魔法石取りに行こう。」
スタスタと足を早めるアリシャに一同、素直に従う。
「やっぱり一番おっかねぇのは監督生なのかもな。」
エースが呟くと横を歩く二人と一匹がうなずいた。

 雑談を交えながらドワーフ鉱山の中を進む一行。
「待て。」
デュースの一言でルイーザは何かを察しマジカルペンを構える。
「んだよ。」
「何か…いる!」
「ぴゃっ!」
咄嗟にアリシャの背にグリムが隠れる。
その言葉にエースも警戒し身構える。
「ひっひっひっ、10年ぶりのお客様だー!」
「ゆっくりしていきなよ。
永遠にね!」
目配せをして四人と一匹はゴーストに背を向ける。
「一旦逃げて立て直すぞ!」
「当たり前だ!別にビビってねーし!」
「二人とも逃げるのはいいけど攻撃の手を緩めないで!
アリシャ、手を。」
グリムを抱えて逃げるアリシャの手を引き、ルイーザは後ろを警戒する。
「あそこに逃げ込むぞ!」
前を走るデュースの指差す方向へと逃げ走る。
「はぁはぁ、ここにもゴーストがいるのかよ。」
息を整えながらエースが悪態を吐く。
「一々構ってたらキリがない。
先を急ぐぞ。」
「えらそーに命令しないでほしいんだけど。
大体お前があんなことしなければこんなことにならなかったのに。」
まさに売り言葉に買い言葉。
責任の押し付け合いはグリムにも飛び火し、言い合いはさらにヒートアップする。
「まあまあ、喧嘩しないしない。」
ルイーザが間に入ってなだめるが眼中にないらしい。
ふと、曲がり角付近にいるアリシャが顔を上げる。
「今、人の声のような音が聞こえたような。」
『さぬ…うぅ…ぬ…。』
風に乗って唸るような声が奥から聞こえてくる。
「この声は…。」
エースが驚くと同時に石は俺のものという言葉が返ってくる。
「やっぱりここに魔法石は有るんだ!」
「危ないよ!」
アリシャがデュースの肩を掴み止めるが彼は振り解いて化け物に立ち向かっていく。
「煩い!退学になりたくないんだ!」
「ああもう!面倒なぁ…。
これでも食らえ!」
ルイーザも水の魔法で援護する。
『カエレ!カエレ!』
「ノーコン真面目君とお人好し君は引っ込んでな!俺が仕留める!はぁ!」
風の魔法も虚しく化け物は進行を止めない。
「ぶなぁ!こっちに来るな!」
グリムの青い炎も効いていない様子。
「あ、アレ!何か光ってる!」
アリシャの叫びに一同顔を上げる!
「あれは…魔法石だよ!
スペード君、トラッポラ君!」
間違い無いと確信を持つ。
だが目の前の化け物に歯が立たず敢なく退却を強いられることに。

 
 洞窟の入り口付近まで戻ってきた一同。
エースが弱音を吐いたら諦めきれないデュースが突っかかる。
「な、なあ、なんかデュースのキャラ変わってるんだゾ。」
「二人とも冷静に。
まずはあの化け物をなんとかしないとね。」
ルイーザの言葉に二人は言葉を詰まらせる。
それにアリシャは
「でも、魔法で歯が立たなかったし…。
大掛かりな魔法とかでこう、ドーンとかできないの?」
と聞くもので三人は顔を見合せ苦笑いを溢す。
何故、ナイトレイブンカレッジのような養成学校があるのかという話に移る。

協力しようというアリシャの提案にエースとデュースは反りが合わず反発する。
「この突っ走り真面目君と?
絶対やだね。」
「嗚呼、こっちこそ願い下げだ!」
「でも入学早々、退学だなんてダサいんだゾ。」
グリムの一言でまとまる二人。「そうだね。こんな事でつまずいてたら立派な魔法士にもなれないしね。」
苦笑いをこぼしながら賛同するルイーザ。
「そういう…あんたはどうするわけ?
さっきから意見を何一つ言ってねーけど。」
エースの問いかけにルイーザは真顔になり口を開く。
「僕も退学にはなりたくない。
スペード君の意見には賛同してるけどただ策も無しに突っ込むのは無謀だと思う。」
「ほらみろ!」
デュースが顔を上げてそうだそうだと賛同する。
「でも…ね。
あの化け物にまともにやりやったとして全滅したら意味がないんだよ。
えーっと、アリシャ君、何かいい案は有るのかな?」
いつのまにか仕切るポジションになってしまったルイーザはアリシャに意見を振る。
「うん、有るよ。」
キッパリと胸を叩き、三人と一匹の耳を貸してもらうよう言う。

 アリシャの作戦で一同は協力関係にまとまる。
「や、やい!化け物、こっちなんだゾ!」
『魔法石…オデノもの…!
ワタサナイ!ワタサナイ!』
洞窟奥から化け物はのしのしとグリムに迫っていく。
「今度はこっちだ!化け物!」
小石を投げてアリシャが誘う。
なるべく洞窟から放そうと誘導する二人。
「こ、怖いけどやるしかない。」
だいぶ離したあと合図するアリシャ。
「今だよ!」
「オッケー!特大突風!」
「グリム様特大ファイアー!ぶなー!」
エースの風魔法に煽られ炎が大きくなる!
「どうよ!グリムのしょっぼい炎も俺の風魔法にかかればバーナー並みの火力だぜ!」
ショボくないとグリムが反論するがアリシャは気にも止めずデュースとルイーザに指示を出す!
「次!お願い!」
「落ち着け…よく狙うんだ…。
いでよ!大釜!」
「アーンド上から熱湯注意!」
大釜が降って化け物の巨体を潰し、熱湯が釜の中を満たす。

 化け物が怯んでいる隙に魔法石を奪う。
だが化け物も執念深く、追ってくる。
「お、おいデュース!なんとかならねぇのか。」
グリムが問いかける。
「そ、そんなこと言われても…ええい!大釜!」
言われるがまま、大釜を次々と繰り出し埋める。
「あった!魔法石!」
アリシャの叫びにエースとルイーザが反応して取り上げる。
「ヅラかるんだゾ!」
「了解!」
「らじゃー!」
四人と一匹は洞窟の出口へと一心不乱に足を進める。

 だが、執念深く、洞窟外に出ても追ってくる。
「しつけーんだゾ!」
「でも弱ってる!今なら倒せるかも!」
アリシャの言葉に勇気づけられ一斉に魔法をぶつける。
ドサリと化物が倒れる。
「や、やったの?」
「動いてねぇし多分…。」
「やっ、やった!やったぞみんな!」
「イェーイ!勝利のハイタッチなんだゾ!」
三人と一匹はハイタッチを交わし、喜びを分かち合う。
「すっかり仲良しだね。」
「そ、そんなことねーし!」
「そ、そうだ。…でもこれはアリシャの作戦のお陰だな。」
デュースが認めると照れ臭そうにエースも折れる。
「だな。やっぱすげーよ。」
「よかったよかった。
じゃあ、帰ろうか。
これも届けないといけないし。」
ルイーザの一言に一同は顔を見合せて笑う。
「おう、それとさお前、俺の事はファーストネームで呼んでいいぜ。」
「嗚呼、俺もできればデュースって呼んでくれ。」
「じゃあ、僕の事もルイーザでいいよ。
それとお困りのことがあったらこれ。」
 制服の懐から名刺を取り出していう。
「なんだこれ。」
「うちの寮長が経営してるラウンジ。
僕も働いているからよろしくね。」 
ヒラヒラと手を振ってルイーザは去っていく。
まさか彼らがこの先、とてつもないトラブルにまた巻き込まれるとは知らずに。
運命は巡り巡るものである。

【To be continued】
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