※この話は七海や灰原が三年生として生きているイフの世界線です。
夏油も離脱してません。
五条達は四年生、七海達は三年生の本編とは一切関係ないオカルトラブコメを目指します。


 ねぇねぇ知ってる?
とある高校の七不思議。
狐の窓という手で組んだ穴から覗くと幽霊が見えるという噂。
「くだらない。」
瀬尾ひよりはため息混じりに女子たちの噂話に水を刺す。
「ひより〜ノリ悪いよー。」
友人の一人が空気を読めと肩を叩く。
ひよりは所謂、見えてしまう人種であった。
だから、そういうタチの悪いものに関わることをあえて避けている。
「にしてもさー西校舎で狐の窓使って肝試しやるーって言ってた先輩たちどうなったんだろうね。」
「さぁ?噂では床が抜けて大怪我したとか帰りに変質者に襲われたとかで学校休んでいるみたい。」
人の不幸は蜜の味というがよくそんな噂話で盛り上がれるなとひよりは傍観する。
「ねーさっきから黙ってるけどひよりもこういう話詳しいんじゃないの?
アンタの家って…。」
「それ以上言うならもう付き合い辞めるよ。」
友人が言いかけた言葉をひよりは遮った。
余程、家庭の話に踏み入って欲しくないらしい。
女生徒達は話題をオカルトから日常の話へと変え笑い合う。

夜の校門をに見知らぬ黒塗りの車が止まる。
「ここが噂の高校か。」
黒髪の純朴そうな少年が立ち止まり見上げる。
「さっさと終わらせますよ。」
隣を歩く色素の薄い髪を持つ少年が鉈の入ったケースを車から下ろし言う。
「七海ってそう言う所は堅物だよね。」
ケラケラと笑う同級生、灰原は西校舎の方を向いた。
補助監督に帳を下ろしてもらい目指すは西校舎。

 一方、何も知らぬ肝試しをしているひより達。
「ほらほらひよりー笑って。」
携帯のフラッシュが暗い西校舎を照らす。
不機嫌なひよりはズンズンと前へ前へと歩いていく。
「あいつ誘った意味無くない?」
友人の誰かが呟くように言った。
「だよねぇ。
お高く気取ってさ、せっかくうちらのグループに入れてあげてるんだからちょっとは合わせろっての。」
軽口から始まった悪口は止まらず彼女の耳に届く。
振り向いてひよりは言い返す。
「うっさいな!
大体、あんたらが西校舎の理科室に忘れ物したって言ったのが発端でしょ!」
真面目なひよりは荷物を人質に取られて渋々、忘れ物を取りに行きがてらの肝試しに参加したのであった。
『うぅあア。』
返事の代わりに呻き声が帰ってくる。
「何?なんか言った?」
ひよりが聞き返すが首を横に振る一同。
『蜉ゥ縺代※縲∝勧縺代※』
訳の分からない唸り声が音が響き渡る。
「ね、ねぇ、もう帰ろうよ。」
誰かが震えた声で言う。
「そんなこと言ったって理科室まで行かないと忘れ物したのは本当だし…。」
ああでもないこうでもないと言い争っている間に足元に何かが当たる。
「なにこれ?」
女子グループの一人が拾い上げる。
それは大きめのビー玉のような物。
「ひっ、こ、これ、目玉!」
すぐにその女生徒は目玉を放り投げる。
投げた先にはガリガリに痩せ細った老人が…。
叫びを上げてもつれる足で逃げる一同。
だが一人、転んでしまった!
「た、助けて、まって、置いていかないで…。」
悲痛な命乞いが聞こえるが足を止めるわけにはいかなかった。
皆、得体の知れない化け物に怯え、混乱している。
それは、ひよりも同じで彼女は見えたり触れたりはできるが攻撃する手段を持ち合わせてはいなかった。
走って、走って息が上がる。
その間にもまた一人、一人と誰かの悲鳴が響き渡る。
このままじゃ、追いつかれる。
そう頭で分かっていても振り向けない。
このままじゃ、みんな死ぬ。
それでも足は止めてはいけない。
耳がいいひよりにとって振り向かずとも化け物との距離は振り返らずともわかる。
もう、ひよりしか残っていないのか直ぐ後ろまで迫っている。
足元のゴミに足を取られ、転んだ瞬間。
「そのまま伏せていてください。」
ガシャンと窓の割れる音が背後から聞こえる。
「もー七海、突っ込んだら危ないっていつも言ってるよね。」
聞き覚えのない少年たちの声。
「貴方だって人のこと言えないでしょう?」
振り返れずただ恐怖に支配されたひよりはうずくまる。
化け物の呻き声と何かを切り刻む音、打撃音が響く。

 鳴り止んだ後、黒髪の少年がひよりに歩み寄る。
「君、大丈夫?立てる?」
「は、はい。」
差し伸べられた手を握り、立ち上がる。
「俺は灰原、こっちの無愛想な奴は七海。」
自己紹介をされ、思わず気が抜けるひより。
「あ、あたしは瀬尾ひより。
ここの高校の一年生。」
「灰原君、被害者の保護は補助監督に任せましょう。
私達はまだ奥にいるやつを叩かないと。」
スタスタと歩みを止めない七海。
その後を追おうとする灰原。
「え、ちょ、ちょっと、あたしはどうすれば?」
困惑するひよりを他所にななみが振り返って答えた。
「下階に降りて外へ出てください。
私達の仲間がいるので。」
「送っていきたいんだけどごめんね。
下階の呪霊って言ってもわからないか…お化けは倒しておいたから大丈夫。
俺たちも仕事があるから。」
ひらひらと灰原が手を振って彼らは奥へと消えていく。
「ふ、ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁ!」
ひよりの叫びが西校舎二階の廊下に小玉する。

【つづく】
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