退学を免れたルイーザだったが寮の鏡の前に仁王立ちしている寮長の姿が…。
「いやーごめんねアズ君。心配かけたかな?」
頭をかきながらヘラリと笑うと彼は眉に皺を寄せてため息をつく。
「僕がどれほど心配したのかわかってるのか!このバカ!」
怒りながら泣いているのを見て器用だなと思う反面、親友を泣かせてしまったことにちょっと後悔が募る。
「次からは気をつけるよ。
小生、あの子達とはうまくやっていけそうだし。」
「コホン、では寮長命令として一言、友達は選ぶように。
それと今回は学園長からの課題をこなしていたということでラウンジのシフトは免除していましたが明日から頑張るように。」
さっきはまで泣いていたとは思えない毅然とした態度で言う。
「はーい寮長。」
はいは伸ばさない!とお叱りを受け鏡を通り、寮へと足を踏み入れた夜のこと。
*
翌日、メインストリートにて機嫌の良いグリムとアリシャ。
それにハートの首輪を付けたエースに出会った。
「やあ、機嫌良さそうだね。」
「えっへん、オレ様今日からここの生徒なんだゾ!」
「こーら、グリム。
僕らは二人で一人の生徒なんだから。」
ふよふよ浮いてるグリムの首根っこを掴んでアリシャが叱る。
「で、エースはどうしたのさ、それ。」
首元を指しながら聞くと不機嫌に口を尖らせ彼は答えた。
「ケーキ食ったらこうなった。」
「はぁ?」
「だから!夜中にケーキ食っただけで寮長にキレられてこうなったんだっつーの!」
隣のデュースもうんうんと首を縦に振る。
「へー君らの寮長って厳しいんだねぇ。」
呑気にルイーザが返すと恨めしそうに睨まれる。
「お前のところはどうなんだよ。」
「小生?
んーバイトしてる以外は普通かな。
特に厳しい決まりとかないし。」
「お前はお気楽で良いな。」
ため息をつくエース。
デュースもげんなりした様子。
「なぁーアリシャもルイーザもついてきてくれよ。
寮長こえーんだって。」
情けないエースの懇願に二人とも顔を合わせて苦笑いをこぼす。
「じゃあ、ボクはついていってあげる。」
「小生は都合が付き次第って事で。」
口約束を交わし、一年御一行は教室へ急ぐ事となった。
放課後、鏡舎前。
「おせーぞルイーザ。」
「ごめんごめん。
アズ…寮長のお小言食らっちゃってさ。
まあ、それじゃあ行こうか。」
全員でハーツラビュルへ繋がる鏡の前へ立つ。
吸い込まれるようにして寮へと入った。
「わあ、すごく綺麗。」
アリシャが目を輝かせていう。
「そう?別に普通だと思うけど監督生の世界にこういう場所ねーの?」
エースが聞くとアリシャは少し困ったように笑う。
「薔薇の花畑なんてテーマパークとかでしか見たことないよ。」
「小生もこんなに鮮やかな花々が咲いているのはびっくり。」
ルイーザも興味津々といった感じで目を輝かせる。
「二人ともお子ちゃまなんだゾ。」
「と、兎に角、謝りに来たんだ。
急ごう。」
雑談もそこそこに寮長を探すよう促すデュースの一言で一同はハッとする。
進んでいくと茶髪の先輩に出会い、なんでもない日のパーティーの為に薔薇を赤く塗れと言われた。
「はーかったりー魔法が使えねーってほんと不便。」
「エース、真面目にやって。」
アリシャが言えば更に鬱陶しそうにエースは返事を返す。
「へーい。」
「二人とも口より手を動かして欲しいんだけどなぁ。」
「あの二人に真面目さを求めるだけ無駄だと思う。」
「だよねー。」
ケイト先輩のため息にルイーザが同情する。
「赤…赤、赤になれ!くそっ青になった。」
一方でデュースとグリムは色変えの魔法で苦戦している様子。
「さっきからピンクになったりオレンジになったりするんだゾ。」
あーでもないこーでもないと思案しつつ薔薇の色が徐々に染まる。
「なんでルイーザだけそんなにホイホイ濡れるわけ?」
「小生、器用ですから。」
「むっかつくわ〜。」
絵の具を掛け合いながらも仲良く作業は進んでいく。
【To be continued】
トップページへ