緑川と模擬戦をする羽目になった龍樹。
「そんなに時間ないからさっさと済ませるわよ。」
「相手してくれるならそれで十分。」
納得してもらえた様子でブースに入る。
トリガーオンという掛け声と共にフィールドに入る。
彼に選ばせてはいるが油断ならない。
快晴の市中。
つまり彼は小細工なしで龍樹に向かって来るというわけだ。
(あっちがその気なら。)
警戒をしつつ、アステロイドを構える。
「そこか!」
真上にスコーピオンを構え、突撃してくる緑川。
それを交わし、後ずさる龍樹。
「さっすが龍樹ちゃん。
気配だけでやっぱわかっちゃうか。」
「生意気な後輩の手数はわかっているつもりよ。」
アステロイドを散らし、距離を詰める。
「猫騙しのつもり?」
「だったら?」
龍樹もスコーピオンを出し、緑川に切りかかる。
「玉狛のトリガー使わないの?」
「今日は後輩を伸ばすためのハンデよ!」
「へぇ、いうようになったね。
迅さんのお陰っと。」
ニヤニヤと飛び退き、体制を立て直す。
その隙を縫うように打つが軽くかわされる。
「ねぇ、告白はどっちから?」
「…。」
「ちぇっ、だんまりかよ。おっと!」
告白の話題が上った途端に一撃一撃が重くなる龍樹。
「わかりやすいなぁ。
照れなくても良いのに…。あ、もしかして龍樹ちゃんから告白したの?」
「別に。」
攻撃を跳ね除け、龍樹の首を容赦なく切断する緑川。
同時に龍樹は一矢報いる勢いで腕を切り落とすことも忘れない。
「あーあ、必死になっちゃって。」
ベイルアウトする光を見送る緑川。
龍樹は負けた事に特にこだわる様子もなくマットレスから起き上がる。
サイドエフェクトに異常はなかったがどうやら怪我を気にしてうまく動けていなかった気がする。
一本勝負の約束だった為、ブースを出ると露乃と犬養に遭遇する。
「お、お姉ちゃん?」
「あちゃー、鉢合わせちゃったか。」
言葉とは裏腹に楽しそうに笑う犬養。
また良からぬことを考えているのだなと龍樹は勘繰る。
「これはどういう状況?」
「見ての通り、後輩指導だけどなんか文句ある?」
露乃の肩を抱いてニヤリと笑う犬養。
(犬養のポジションは確かガンナー。
露乃のトリオン量はガンナーには向かない筈…。)
「私の妹に何か変なことでも吹き込むつもり?」
「酷い言いようだな。
妹ちゃんから直々に頼まれたのに疑うなんて…あ、もしかして妹ちゃんに抜かれるのが怖いとか?」
煽る犬養の手を振り払い、梅雨のが一歩前へ出る。
「犬養先輩の言うことは本当。
私から彼に指導をお願いしただけ。
口出ししないで。」
強気に龍樹を見上げる露乃。
彼女の強い眼差しに根負けした龍樹はため息を漏らして去って行く。
「せいぜい頑張りなさい。
その男は信用ならないから忠告だけしておくわ。」
「酷い異様だな雛菱ちゃん、そんなんだから友達いないんだよ。」
嫌味の応酬に振り返って一言。
「友達がいないんじゃなくて作らないの。」
「そっかそっか、あえてぼっちになりに行ってるさみしんぼったったか。」
キリがないと舌打ちをし、緑川と合流する為にさって行く。

「さ、始めようか。」
「はい。」
訓練用の設定に変え、犬養と露乃はブースへと入る。
住宅街のステージで天候は晴れ。
一番ベーシックな場面だ。
「二ノ宮隊ってカッコいい隊服なんですね!」
「そう?露乃ちゃんのはツナギっぽいね。」
「私様にちょっとカスタムしてもらいました。
どうです?似合ってますか?」
キラキラと眩しい笑顔を見せる露乃に対し、引き気味の犬養。
「あー似合ってるにあってる。
いい加減始めるよ。」
軽くあしらい、訓練指導を始める犬養。
「ま、説明するより体で覚えろってタイプだと思うから今から10秒、いや30秒間ベイルアウトせずに逃げ切ってね。」
不敵な笑みのまま、銃口を露乃に向ける。
「え、冗談ですよね?」
「な訳ないじゃん、よーいスタート!」
地獄のコソ練が始まった。
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