※注意
原作一年前の捏造話。
とーまん旗揚げ後。
三ツ谷が既にインパルス乗ってる。
真一郎君はまだ死んでない。
 
 
 アタシには兄貴が二人いる。
両方とも元ヤンで長男の学(ガク)にぃはトラックの運ちゃんをしている。
響(ひびき)にぃはライブハウスを経営している。
彼女がいるらしい。
そんな男ばかりの家庭で育ったアタシももれなく男勝りで女友達も少ない。
オマケに不良のくせして世話焼きな幼馴染まで居る。
「こーら、女がスカートの裾で仰ぐな。」
軽く太ももを叩かれる。
この紫色の短髪男はアタシの幼馴染、三ツ谷隆だ。
「だって六月入ってもこの暑さだぜ。
死ぬぞ。」
「言葉遣い、なんとかしろよ。
俺ら中二なんだぞ。
将来的に高校行くつもりなら直せって。」
「へーへーご忠告どうも。」
こうして駄弁ってムスタングのケースとかばんを引っ提げて部活に行くまでがアタシらのルーティン。
「もーどこで油売ってんのさ!」
軽音部の部員であり、アタシの親友が待っていた。
「ごめんなーミチル。
タカがうるさくってさ〜。」
仕返しと言わんばかりにほっぺたを軽くつねる。
「やめろって。」
「相変わらず楽しそうだね二人とも。」
クスクスと笑うミチル。
「楽しくないやい。
幼馴染の癖して小姑みたいにうるさいんだぞこいつ。」
呆れ果てるアタシを横目で複雑そうに見るタカ。
「あはは、頑張れ三ツ谷。
カズちゃんは鈍感だからなぁ。」
「今更どうってことねーよ。」
「なにおう。」
何やら二人してアタシのことを馬鹿にしているみたいだった。
その時、少しだけモヤモヤした感情が降って沸いた。
「カズちゃん、そろそろ部長にドヤされるから行こう。」
「はいはい、んじゃタカまた後で。」
パタパタと足音をさせて走っていく。


 
 ミチルの忠告通り、部長に喝を食らったアタシ達。
その後、セッションをしたが朝練をサボったせいかあまりうまく弾けなかった。
罰として部室としている防音室の片付けを二人でやることに。
「三ツ谷とはどーなんよ。」
箒を持ってカラカラと笑うミチル。
こう言う手の話に彼女は面白がって話題を振るから余計にタチが悪い。
「単なる幼馴染。」
「へぇー。にしては随分と話し込んでたじゃん。」
詰めるミチルは悪い顔で箒を軸にして前屈みになる。
「アホなこと言ってねーでさっさと片付けるぞ。」
窓拭きを終えたアタシは雑巾を洗い、干す。
丁度、階段を降りてきたタカと遭遇する。
「お前、まだ部活終わってなかったのか?もう十九時すぎてるぞ。」
「アンタと駄弁ってたせーで部長に叱られたんよ。」
「それは…悪りぃ。」
しおらしいタカの態度にバツが悪くなり、顔を背ける。
「別に気にしてねーし。」
「いいムードのお二人さん、カズちゃんのムスタング持ってきたからはよ帰ろー。」
スクールバッグとムスタングの入ったケースをぶら下げるミチル。
「おーあんがと。」
三人で昇降口まで降りる。
「あー彼ピッピだ!
んじゃ、お二人さんバイならー。」
校門に背の高い男の人が手を振っていた。
どうやらミチルの彼氏らしい。
仲良く手を繋いで二人は帰っていった。
「…なあ、乗ってく?」
唐突にタカが聞いてくる。
「別に、自転車あるし。」
タカは不良らしく単車で登校してる。
偶に後ろに乗せてもらうが正直、乗り心地はあんまり良くない。
「あぶねーだろ。
帰り道一緒だし、朝も送ってってやるから乗れよ。」
半ば無理矢理に手を引っ張られ乗せられる。
「別にいいって、ほら、響にぃに連絡すればハウスまだ開く時間じゃねーし。」
無理くり笑えば眉間の皺が深くなる。
「いいから乗れよ。
頼むから、これ以上俺を心配させないでくれ。」
弱々しく項垂れるタカに少しだけ顔が熱くなる。
なんなんだこの気持ちは。
「そ、そこまでいうなら仕方ねーな。」
らしくないしおらしさが出て思わずスカートの裾を掴む。
「あぶねーからここ持っとけ。」
奴の腰に手を持ってかれ、固定される。
意外と太い腰にしがみつく。
鈍い音を響かせインパルスは風を切る。
「ノーヘルでサツに捕まらない?」
アタシが耳元で聞けばタカは笑う。
「この辺はサツいねーから安心しろよ。」
下校ツーリングはあっという間でアタシの家の前まで来ると単車を止める。
とは言っても隣の家なので後は押して帰るだけである。
家の窓を見上げれば電気が付いていないので誰もいないのだろう。
「…送ってくれてありがとう。」
「おう。」
言葉数少なくお互いに気恥ずかしくなって背を向けて家に入った。
案の定、家族はみんな出払っており、電気をつけて和室まで行く。
そこには仏壇とかーちゃんの遺影が飾ってある。
手を合わせて今日あったことを報告するのが日課になってた。
「なぁ、かーちゃん。
とーちゃんと出会った時、こんな気持ちになったのか?」
アタシの問いかけに誰も答えない。
だが、タカを見ると最近変なんだ。
ドキドキして胸がキュッと苦しくなる。
そんなことがほぼ毎日起こる。
アイツはただの幼馴染なのに。
「あーもう!考えるのやめ!
飯にすっか!」
モヤモヤを払うように頬を叩いて台所に向かった。

【To be continued】
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