色塗りの途中、ケイト先輩にお詫びの品のパイは持ってきたかと問われるエース。
ないと言うとケイト先輩は苦笑いをこぼし、寮には入れられないとユニーク魔法で追い返される。
「なんなんだよ!
だーもう!アリシャ!ルイーザどっちかの寮に泊まらせてくれ!」
頭を抱えて言うエースに二人は顔を見合わせる。
「いいけど小生のところは寮長が宿泊料を取りそうだしなぁ。」
「なんだそれは。」
デュースのツッコミが飛んでくるがアズ君は本当にお金次第なところがあるんだ。
許せエース。
「仕方がないなぁ。
僕のところは泊めてもいいけど掃除を手伝って。」
「えー、面倒くせー。」
ぶー垂れるエースにデュースが言う。
「このまま寮に帰れなくて野宿するつもりか?」
「それはヤダ。」
「素直にアリシャの言う事とオレ様の言う事を聞くんだゾ。」
グリムも呆れたように言う。
「じゃあ、小生の所へマドルを払って泊めてもらう?」
「小遣いそんなにねーし。
はぁー、しゃーねぇ、腹括るか。」
渋々と言った感じでオンボロ寮の掃除を了承した。
予鈴が鳴り響き、アリシャ達が1-Aと分かったがルイーザは隣のB組だった。
「では、皆の衆達者で。」
「それはこっちのセリフだっつーの!」
「ルイーザも遅れるなよ。」
ヒラヒラとエースとデュースに手を振り、分かれ道を進んだ。
今日のB組は魔法史の授業だ。
一方でA組は魔法薬学の授業だった。
いきなりクルーウェル先生に薬草と毒草の暗記を言い渡される。
「…なるほど。
ところで、キンシルイって何だ?」
「君が普段食べてるキノコの事だよ。
マイタケとかぶなしめじとか椎茸とかそういう。」
「マイタケ?ブナシメジ?シイタケ?何だそれ?」
日本人としての知識を出してしまって口を手で抑える。
「あーいや、こっちの話。
とにかく、薬草はこのページかな。」
咄嗟に誤魔化してデュースに教科書を見せる。
内心、冷や汗をかきながらの授業は生きた心地がしない。
「げー、オレ、暗記苦手なんだよね。」
「あーわかるわかる。
歌とか作れば意外といけるんだけどね。」
「草なんて美味いか不味いかわかればいいんだゾ。」
グリムの意見は論外だ。
「そこ!うるさいぞ!」
初日からクルーウェル先生に目をつけられる三人と一匹だった。
二限、三限と代わり映えのしない授業に三人と一匹はやる気をどんどん無くしていく。
廊下でルイーザと合流して雑談を交える。
「なールイーザんところの授業はどんな感じ?」
「君らと変わらんよ。
魔法史やって、次は運動して、最後に魔法薬学。」
「はー想像より地味っつーか、魔法使えなくても別に困んねーな。
なーグリム。」
「あれ?グリム?」
グリムに声をかけたエースとアリシャだったがすぐ側に居たはずの彼がいない。
「あっ、窓の外見てみろ。
あの中庭を横切る毛玉は!」
デュースの叫びに一斉に窓に張り付く。
確かにそれはグリムだった。
ぶつぶつと文句を垂れ逃亡を図る。
捕まえる他ないと困っていると。
「手伝ってやってもいいよ。
オレ学食のクロワッサンな。」
「僕はカフェオレで。」
「小生は海老カツサンドで。」
にっこり三人が詰め寄る。
「んー、学園長にそんなにお小遣いもらってないんだけどなぁ。」
「ほらほら、早くしねーとグリム逃げるぞ。」
エースが煽る。
窓の外から見える影もどんどん小さくなってしまう。
「わかったそれで手を打とう。」
張り切って飛び出して行く三人。
グリムはデュースの大釜によって確保されるのであった。
「イェーイ、これで約束の品は俺らのだな?」
「小生、少し出すよ。
アリシャばかりに奢らせられないし。」
「何だよルイーザ、良い子ちゃんぶるなよ。」
「別にその代わりにうちのラウンジに来る時は借りを返してもらうだけさね。」
ちゃっかりしているルイーザに一同苦笑いをこぼすのであった。
【To be continued】
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