結果として桐生隊は敗退した。
「ごめんなざい〜。」
泣きべそをかく露乃を抱きしめて飛彩はこう言った。
「ドンマイドンマイ。
初めてはみんなこんなもんだ。
お前はよく頑張ったよ。」
わんわん泣いている最中、犬養が露乃の肩を叩いた。
「泣いてるところ悪いんだけど通して来んない?」
「ご、ごめんなさい。」
「うんうん、泣いてる暇あったらコソ練しなよ。それとも何?妹ちゃんは遊びでランク戦受けてるわけ?」
ネチネチと詰められる露乃。
見兼ねた宵街が前へ出て庇う。
「ちょっと、うちの隊員にケチつけるとかケンカ売ってんすか?」
「負けた癖に吠えるねぇ。
立ち直ってこないならもう練習付き合うことしないから。じゃあね。」
ヒラヒラと手を振りさっていく犬養。
彼なりの励ましだったのかと露乃は涙を拭く。
「あいつ…気にすることないからな雛菱。」
「あ、オレ、飲み物買ってくるから何がいい?」
犬養を睨む桐生、気を使う宵街に囲まれて彼女は少しだけ笑顔を取り戻す。
「お気遣いありがとうございます。
でも、私が足を引っ張ったことは事実なので。」
「反省会しよしよ。
よーし、ファミレス集合な。今日はアタシの奢り!」
飛彩がドンと胸を叩いて笑う。
誰よりも悔しいはずなのに彼女は二人を心配させまいと振る舞う。
その後、ランク戦を見終えて桐生隊が12位に降格した事を見届けた。
「おっし、じゃあファミレス集合で反省会っすか。」
宵街が背伸びをし、ホールから出て行こうとすると。
「修っち。話があるの。」
露乃が廊下で修を呼び止めていた。
「なんだ?」
「あ、あのね。
今日、負けてわかったの。
最初は修っちの夢のためにって思ってたけど。」
「けど?」
「やっぱ負けるのは悔しいね。
次があるかは分からないけど練習とかは付き合うからね。」
それじゃあと言い逃げのように去っていく。
「ま、待って。」
伸ばしかけた手が虚空を掠める。
「オサム〜。それは追いかけるべきだろ。」
空気をあえて読まず遊真は焚き付ける。
「…。」
釈然としない気持ちを抱えて彼は露乃を見送ったのであった。
「遊真が負けた?!
誰に?風間さん?太刀川?」
「二人ともお疲れ様。」
台所で話をある程度聞いていた龍樹は遊真と修の前にお茶とお茶菓子を置く。
「あんがとタツキ。
むらかみ先輩って人。」
「村上…綱さん?!」
「ありゃ〜先に戦っちゃったか。
帰ったら話そうと思ったんだけど。」
「村上なら負けちゃっても仕方ないかな。
あたしも無理。」
「むらかみ先輩のサイドエフェクトの事?
へータツキがそんなこと言うなんてね。」
「うん、そう。」
村上のサイドエフェクトについて説明してその日は解散となった。
屋上にて龍樹は妹のことを考えていた。
玉狛支部の一員として後輩達が勝ち星をあげたことは喜ばしい。
だが、姉としては露乃のことが心配なのである。
「あっ、あの、お夕飯ができました。」
屋上の扉が開き、修が呼びに来る。
「うん、ありがとう。ねぇ、三雲君。」
「は、はい。」
「君は露乃の事どう思う?」
「どう…って。」
動揺する修に龍樹は目を細める。
「君の思ったままのことを言って欲しい。」
「…正直、よくわかりません。
好きとか嫌いとか今までそんな気持ちで見てなかったので。」
「そう。ならいいわ。
君の進む道の障害になり得るならボーダーを辞めさせて転校させるのも考えていたところなの。」
「えっ…ま、待ってください。
露乃の意思はどうなるんですか。
そんなのあんまりじゃ…。」
「あのね三雲君、恋心ほど厄介なものは無いのよ。
諦めさせて遠ざけた方がいいってことも時には
あるのよ。」
「だからって…そんな無理やり。」
「じゃあ、はっきり露乃の目を見て嫌いって言える?」
言葉に詰まる修。
「曖昧な態度はダメよ。
それじゃあ。」
それだけ言って龍樹は屋上から去っていく。
残された修は心の中に残る露乃の笑顔に悩んでいた。
【To be continued】
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