志保が倒れて目が覚めたのは全てが終わってからだった。
目を覚ますと野薔薇が顔を覗き込んでいる。
見知らぬ天井を見て少しだけ安堵のため息が漏れる。
「あら、起きてるじゃない。
伏黒のところでピザ食べるけど起きられる?」
「うん。」
寝起きで声が掠れるが他に目立った外傷はない。
だが、呪力切れを起こしてるのか少しだけふらつく志保。
「ほら、しっかりしなさいよ。」
「んー。」
ふらふらと歩きながら野薔薇に手を引かれ、恵の病室までやってくる。
「あー何二人で先に開けてんのよ!」
「ピザー。」
モグモグと先に食べてる悠二と恵に睨みを効かせる野薔薇。
気にせずマルゲリータを一枚掻っ攫う志保。
「お!薙原も元気そだね。
にしても髪、どーすんのボサボサじゃん。」
わしゃわしゃと悠二が彼女の髪を撫でればぶんぶんと首を横に振る。
「くすぐったい。クラクラする。
後で悟に切ってもらう。」
「こら、食べながら寝んな。
紙皿あるからこれで受けて食べろ。」
甲斐甲斐しくベットサイドにあった紙皿を渡す恵。
「んーほんちょーしじゃない。」
「京都校の奴らに何かされたわけ?」
「違う、呪霊に襲われて恐らく呪力を吸われてるからそうなってんだ。」
本人の代わりに恵が答える。
「にしてもアンタいつの間にあのゴリラと仲良くなったのよ。」
ピザを食べながら野薔薇は問いかける。
「いや、仲良くなったつーか…記憶はあんだけどあの時は俺が俺じゃなかったというか…。」
歯切れの悪い返答に三人は首をかしげる。
「何、アンタ酔ってたの?」
「それとも術?」
「それにちかいっつーか…釘崎は俺があの状況で酒を飲みかねないと思ってんの?
でもまあ、伏黒と薙原の怪我が大した事なくて良かった。」
「あの時は呪力カラカラだったのが逆に良かったみたいだ。
薙原も目が覚めてよかった。」
「ん、恵が無事でよかった。」
穏やかな顔で志保の頭を撫でる恵に野薔薇と悠二が反論する。
「ちょっとー二人の世界に入るなー!」
「そうだそうだー。俺たちもいるぞー。」
強くなるという決意を四人はするといつの間にか東堂が腕を組んでうんうんと頷いていた。
「どこへ行くブラザー!!」
ダッシュで逃げる悠二。
お見舞いに来た夏稲と鉢合わせてぶつかってしまう。
「おっと!ごめん!
起こしてあげたいけどまた後で!ごめんね夏稲ちゃん!」
「え、あ、元気ならよかった。」
ドタドタと騒がしい足音を鳴らしながら二人は去っていく。
「何やってんすか海谷先輩。」
ひょっこり顔を出した恵が夏稲を見下ろす。
「あ、夏稲先輩、さっきはありがとうございます。」
野薔薇が手を貸して起き上がる。
「うん、野薔薇ちゃんが無事でよかった。」
「夏稲〜、ピザ食べる?」
空気を読まずピザ箱を持った志保も出てきて苦笑いをこぼす。
「うん、いただこうかな。
あ、三人に先に伝えておくけどお昼終わったら談話室に集合してだって。」
ピザを食べながら伝言を聞いて四人は悠二の帰りを待つのであった。
「っつーわけでさ、色々あったし人も死んでるけどどうする?
続ける?交流会。」
五条の号令で集まった生徒たち。
皆難色を示している。
「うーん、どうするって言われてもなぁ。」
「むーやらないのー?」
志保がつまんなそうに貧乏ゆすりをする。
皆も嫌そうな空気が流れる。
「当然、続けるに決まってるだろう。」
東堂の鶴の一声で皆が振り向く。
「東堂!!」
「その心は?」
五条が聞くと。
「一つ、故人を偲ぶのは当人と縁のある者たちの特権だ。
俺たちが立ち入る問題ではない。
二つ、人死にが出たのならばなおさら俺たちに求められるのは強くなることだ。」
何やら御高説垂れているが皆は呆れてる。
「俺は構わないですよ。」
「どーせ勝つしね。」
「そーだそーだ。」
恵、野薔薇、志保は乗り気だ。
京都校のメンツも渋々といった形で乗ることに。
そして炎天下の中、野球が始まる。
「ねぇー何でベンチ〜!!」
志保はつまらなそうに頬を膨らませる。
「志保は呪力もないからもうちょっと休んでないとダメ。」
悟がビシっと指を指す。
「えー。加茂は出てるのに。」
唇を尖らせて不満たらたらな志保。
「ドリンク作っておきなさいよ!」
野薔薇の指示に渋々立ち上がる。
「あはは、じゃあ、私も手伝うから。」
外野を守っていた夏稲がベンチに近づく。
「むーじゃあ、恵、ホームラン打ってきて。」
「無茶言うな。」
「むーちゃーじゃないー!
ゆーじも野薔薇も!勝たなきゃダメ!」
無茶な要求に顔をしかめる恵。
一年のメンツも苦笑いをこぼして悟の「プレイボール!」という試合開始の合図が響き渡る。
【To be continued】
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