野球交流の結果は東京校の勝利で終わった。
「びくとりー!やっぱり期待以上だった。」
一人満足そうに背伸びをする志保の頭を軽く野薔薇が叩く。
「何一つやってないのに何監督面してんのよ。」
「痛い。」
「自業自得だ。
夏稲先輩お世話頼んですみません。」
「いいよいいよ。
それよりみんなすごかったね!
悠仁君運動得意って聞いてたけど大活躍だったね。」
眩しい笑顔で悠仁の頭を撫でる夏稲。
「い、いやーそれほどでも。」
それを横目でヒソヒソと嫌味を言う一年達。
「ケッ、リア充してやんの。」
「処す?処す?」
「コラ、釘崎も薙原も辞めてやれ。」
整列するよーという悟の一声に小競り合いを辞めて集まる。
こうして交流会は幕を閉じた。
*
数日後、一年総出で任務を言い渡され、新田の運転する車に乗り込む。
「よーし、誰が助手席に座るかじゃんけんよ!」
野薔薇が意気込んで最初はグーと繰り出すが。
「薙原、お前車酔い酷いから助手席にしてもらえ。」
「んー今日はなんかいける気がする。」
酔い止めを渡しながら恵がいうが彼女は首を横に振る。
「いける気がするってお前毎回それで吐くだろ。」
「だってさー釘崎。譲ってあげなよ。」
「仕方ないわね。
酔って任務に支障があったら溜まったもんじゃないし…寝るなよ?」
「あーい。」
こうして五人は任務説明を受けながら目撃証言を聞くために移動するのであった。
「葬式…。」
「ここがその知人の家?」
「そう…なんスけどこれは…。」
唖然とする一同の中、志保だけが何かを感じて眉をひそめる。
「薙原何か感じるのか?」
恵が志保の肩を叩くが曖昧な答えが返ってくる。
「…不思議な匂いがする。」
新田が聞き込みをしているうちに悠仁が恵に質問する。
「それ薙原の術式?」
「嗚呼、術式というより体質だな。
こいつは呪いの匂いがわかるらしい。」
「匂いって…犬かよ。」
「むー犬じゃない!」
野薔薇の言い方が気に食わなかったのか抗議するがデコピンで返り討ちにされる。
「参ったっス。
他三人と同じ死に方っス。」
聞き込みを終えた新田が戻ってきて報告を聞く。
どうやらドアは開いているのに開かないと言っていたという証言が気になるところだ。
所変わって恵と志保の母校であるさいたま市立浦見東中学校へと移動する。
彼らが足を踏み入れた瞬間。
「お、お疲れ様です!!」
二人の男子中学生がお辞儀する。
「フッ、何よ。
理解ってるじゃない…。」
「オーラってやつは隠しても滲み出るもんだからな。」
悠仁と野薔薇が何かを察し、うんうんと頷いていると。
「卒業ぶりですね伏黒さん、薙原さん!!」
嫌そうに志保は恵の背に隠れて彼は顔を背ける。
「俺と薙原、中学ココ。」
気まずい空気が流れるが後輩に野薔薇が尋ねると。
「薙原さんにフラれて伏黒さんにボコられてますから。」
視線が突き刺さる。
薙原に至っては野薔薇が恵から引き剥がし、尋問する。
「アンタらそんなことしてたの?」
「シーラナイ。」
「…ボコッた。」
「なんでさっきからカタコトなんだよ。」
「何してんの?
薙原もオトコノコの純情を弄んじゃダメでしょ!」
戯れ合ってると用務員が現れて事情と過去の恵と志保の素行を話してくれる。
その中に任務のヒントがある事を志保は見逃さなかった。
帰り際。
「津美紀君は元気か?」
「…はい。」
「恵、行くよ。」
車に乗り込む時、心配そうに志保が顔を覗き込むが顔色一つ変えずに彼は答えた。
八十八橋に行くが一向に呪霊のじゅの字は愚か志保の感知もない。
「お腹減った。」
志保の一言で近くのコンビニへと行く事に。
おにぎりやサンドイッチを買って食べていると自転車で見知った顔に眉をひそめる。
どうやら藤沼の姉が何が知っているらしい。
「私、行ってるの。
中二の時、夜の八十八橋に。」
冷や汗をかきながら彼女は何かに怯えるように説明する。
津美紀もそのメンバーにいたことが発覚し、動揺する。
伊知地に確認をとった恵は志保に向き直り、言い渡す。
「恵。」
「…お前はこの件に関わるな。」
「でも。」
無理やり車に追いやる。
「お前らももう帰れ。」
明らかに何かを隠している恵に三人は顔を見合わせる。
一度、車に乗り込むが。
「あーちゃん、先回りで橋いける?」
「い、行けるっスけど…何するんスか?」
「どーせ考えることはみんな一緒のようね。」
「伏黒一人で任せられねぇもんな!」
三人満貫一致で橋へと向かう。
「自分の話をしなさすぎ。」
「だな。」
「後、頼らなすぎ〜。このこの。」
志保が軽く小突くがびくともしない。
「別になんでも話してくれとはいわねぇけどさ。せめて頼れよ、友達だろ。」
悠仁達の言葉に少しだけ彼の肩の荷を下ろす。
そして姉のためにそれを祓いたいと胸の内を明かすが…。
「はぁい、美しい友情ごっこはそこまーで!」
見上げると呪霊の群れと共にシスター服の女が不気味に微笑んでいた。
【To be continued】
シスター服の女設定
黄泉河 奈落(よみがわ ならく)
元一級呪術師で現呪詛師
志保の叔母ではあるが彼女の後見人にはならず傍観者を決め込んだ。
夏油のスカウトで呪詛師になった。
志保の父のことが好きだったが志保の母に奪われ剰え、薙原家のしきたりにより、彼が殺された事を知って娘である志保を狙う。
術式
呪骸・ハクビシン
愛らしいハクビシンを連れているが実は剥製で中身は呪霊。
なんでも食べるし志保とは相性がとても悪い。
呪いを吸収すればするほど強く美しくそしてデカくなる。
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