武道君がエマちゃんの下着を見たという疑惑はヒナちゃんが彼をボコボコにして手打ちとなった。
「怖ー。
アンタもよくあんな娘いるのにウチの話に乗ったね。」
「…男の子って本当に短絡的というか。」
エマと舞も呆れ顔でいう。
「別にアンタの事何とも思ってないから…。」
ちらりとドラケンを見る。
「エマも素直じゃないんだから。」
「も、もう!からかわないでよ舞!」
「はあい。でもケンはちゃんと答えてくれると思うわ。」
クスクスと笑う舞に何かを悟る武道。
「あの…滝本さん。」
「タケミっち終わったかー?」
ドラケンの呼び声に振り向いてついていく。
「お話はまた後で花垣君。」
小さく手を振る舞を不機嫌そうに万次郎が見つめていた。

「8月3日武蔵祭が決戦だ!」
 そう言って集会は終わった。
「あ、あの滝本さん。」
万次郎のバブの後ろに乗ろうとする舞に声をかける。
「何?タケミっち。」
本人の代わりに万次郎が不機嫌そうに舞を抱き寄せて聞く。
「コラ、万次郎。
話があるのは私だから威嚇しない。」
「えー俺腹減ったんだけど。」
彼を宥めながら武道の話を聞く。
「あの、その、舞さんはマイキー君のこと本当に好きで付き合ってるんですか?」
「は?喧嘩売ってんのタケミっち。」
「コラコラ、怒らないの。
うーんそうね。他から見たら万次郎ってワガママで強い子に見えるでしょ?
でもね、意外と可愛いところもあるのよ。」
そう言って彼女はひらひらと手を振って別れる。
「…何だったんだ。」
惚気に当てられて唖然となる武道であった。
 

 
 来る8月3日。
巫女服に袖を通して用意をする。
「万次郎。本当に一緒に行かないの?」
「んーあーとーでー。」
「行かないのね?
後からだと雨が降る予報だから折りたたみ傘は忘れずにね?」
ベッドの上で生返事が聞こえる。
眠たげな声に呆れて舞は佐野家を後にする。
ヒナちゃんとエマ達と合流して屋台を回る。
(万次郎も一緒に来てたら良かったのに。)
「あーいたいた。
滝本さん、巫女舞のリハーサルやるから。」
法被を着た若い男の子が舞に声をかける。
彼女は腕時計を見て時間を確認する。
「あれ?リハーサルは三十分早いと思うのだけど。」
「いいから、自治会長さんと顔合わせもまだでしょ?」
強引に腕を引かれ、彼女は渋々着いて行くことに。
「エマ、万次郎に連絡しておいて。
舞を見にくるなら早めに来たほうがいいって。」
「わかった。」
人混みをかき分けてどんどんと林の中に入って行く。
途中で運営委員会の人ではないと警戒を強める。
「貴方、止まりなさい。」
掴まれていた手を捻り上げ、男を伏せさせる。
「いてっ、この、クソアマ!」
頭突きで逆らおうとしてきた男の腕の肩を脱臼させ、さらに制裁を加える。
「誰に命令されたか言えるかしら?」
「ぐっ…こ、この!」
ふらつきながらも逆の手で舞に殴りかかるが軽々と避けられる。
「あまり舐めないで欲しいわ。
東卍の総長のヨメと知っての狼藉かしら?」
「なんだわけわかんねぇことをごちゃごちゃと!」
蹴り上げた足を捕まえて捻ろうとした瞬間。
舞はうなじに強い衝撃を覚えて地に伏せる。
「ばはっ、楽しそーなことしてんじゃん。」
痛みに耐えながら振り返ると背の高い手に刺青をした青年が見下ろしていた。
「くっ、貴方が首謀者?
万次郎達に手を出すって言うなら私が容赦しないわよ!」
目眩に襲われながらも舞は立ち上がり、構えるが男の体格差や力にかなわない。
簡単に両腕を捻り上げられ、ガムテープで縛り上げられてしまう。
「あーあ、なんで自分の心配をしねぇの?
暴れられるとダリィから大人しくしといてね。」
「んー!んー!」
「ばはっ、何言ってんだか全然わかんねー。
オイ、ちゃんと見張っておけよ。
マイキー呼び出すエサなんだから。」
「は、はい。
すいません、半間さん。」
下っ端の男が半間と呼んだ男を睨み上げるが効果はない。
手足と口を塞がれ、無理やり引き摺られる様に連れていかれる舞。
「なんだ始まってんじゃん。ダリィ。」
「んーんー!」
血塗れのドラケンとバイクに跨った万次郎が見える。
「…誰?
つか、舞を離せよ。」
怒りに眉を吊り上げる万次郎。
「オレが誰とかどーでもいいけど一応、今、仮で愛美愛主仕切ってる半間だ。」
半間はタバコを捨てて舞を前に突き出す。
「マイキー、ヨメを返して…。」
話の途中で万次郎は半間の顔目掛けて蹴り上げるが片腕で防がれる。
ガードの隙に舞の肩を引いて後ろに隠す。
舞の口のガムテープを外して振り向いて三ツ谷に言う。
「舞、着いて行かなくてごめん。
三ツ谷、舞のこと頼んだ。」
「そんなに急ぐなよマイキー、いってぇ。あーあ、ヨメも取り返されちゃったしなぁ。
やっぱり、まどろっこしいことはやめだ。
オレの目的は東卍潰し。
かったりぃから内部抗争っしょ。」
ゾロゾロと愛美愛主の不良達が集まってくる。
三ツ谷がエマと舞を人混みのある屋台近くまで誘導する。
「滝本さん、怪我とかない?」
「大丈夫。」
ベリベリとガムテープを剥がして三ツ谷は二人にここから動くなと指示を出す。
東卍の運命やいかに
 
【To be continued】
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