「良いのかい?こんなに綺麗な髪なのに。」
五条の髪をとく手つきはやけに優しい。
それは父親や兄にも似た優しさだ。
「…いい、長すぎても邪魔。」
表情は変わらずくるぶしまで伸びた自身の髪の毛を見下ろして志保は言う。
「そういえば言ってたなー恵は髪が長い子が好みだとか。」
おちょくるように彼が言うと肩をわずかに揺らす彼女。
「…余計。」
「ははは、ごめんごめん。じゃあ行くよ。」
シャキンと呪符の巻きついたハサミが柔らかい彼女の髪を切る。
床に落ちる髪は金糸のように細く上品な光を放つ。
彼女の髪は呪われており通常の刃物じゃ傷一つつけられない。
だからこうして家入か五条が週に一度伸びすぎた彼女の髪を整えるのだ。
「ハイ、できた。
前髪は自分でやる?」
「…ありがとう、やる。」
昼下がりの彼女の自室、麗らかな時間は流れる。