志保のことは可哀想な子だと思った。
傲慢な考えだと誰もが非難するだろう。
上の連中は道具として彼女を利用しようとする。
学長の養女になる事で最悪の事態は避けられた。
眠る彼女の頬に指を滑らせる。
少しカサついてるけど真っ白な頬。
7歳にしては発育が少し悪い体躯。
僕は彼女にこれからどれほどの愛情を注げれるだろうか?
幸せを祈ろうが守る誓いを立てようが不確かな幸福を彼女に与えるわけにはいけない。
だが幸せになる手始めに名前くらい呼んでもいいだろうか?
「…志保。」
薄く瞳が開かれ菫色の瞳がまあるくこちらを見る。
「…何?」
「起きちゃった?ごめん。」
もう少し寝てていいよと頭を撫でると彼女は横に首を振る。
「…悟、疲れてる?」
そう見透かす彼女を抱きしめて僕はいう。
初めて彼女が僕の名前を呼んだ。
なんかくすぐったい気持ちになってしまう。
「ううん、でも初めて名前で呼ばれて嬉しいな。」