山茶花(白):ひたむき、愛嬌

※時系列的には緑川戦の前後辺りで三雲視点。


雛菱露乃という少女は僕にとってのもう一人の幼馴染。
例えるならそう、通学路の垣根に生えてた白い山茶花のようなありふれた可愛さがある。
おちゃらけで一見へらへらしているがそれを愛嬌と考えてみればそれも魅力に見える。
テストの点数はあまりよろしくないがひたむきで一度決めたことは曲げない意志の強さがある。
頑固なところがたまにキズだが。
僕が思いつかないような方法で助けられたことも少なくはない。
千佳も空閑もそれは知っている。
だけど彼女、いや、雛菱に関して僕だけにしかわからないことがある。
それは彼女が笑うと胸の奥が苦しくなってなぜか恥ずかしさを感じるのだ。
この気持ちを母さんに相談しても「鈍いのね、修。」と呆れられた目で見られた。
迅さん辺りに相談してもはぐらかされてしまう。
烏丸先輩はこういう話題だと嘘を盛り込まれるのは織り込み済みだ。

悶々と一人考えていると不意に肩を叩かれ振り返る。
「よっ、メガネボーイ。」
「よ、米屋先輩!」
彼なら適役かと自分と雛菱の事を相談する。
「ふーん、成る程ねぇ。
なんとなくわかったけどそれはメガネ君自体が自覚しなきゃ多分ダメだ。」
米屋先輩の手厳しい意見に余計に首をかしげる。
自覚とは何の自覚を持てばいいんだ?
「俺から言える事はボヤボヤしてっとどこかの誰かに攫われちゃうかもよ?って事だな。」
そんな事、断じてあるはずない。
千佳なら兎も角、雛菱はトリオン量もそこそこだし入隊してからいい師匠に巡り会えたようで毎日報告してくる。
「これでもわからねーか。
おっ、噂をすればだ。」
先輩が差し向けた方を見ればニコニコとこちらに向かって歩いてくる雛菱。
「三雲っちー!お待たせー!」
「じゃあ、お邪魔虫は退散しますか。
頑張れよ。」
意味深な言葉を残し米屋先輩は去って行った。
まだ心のモヤモヤは晴れず仕舞い。
「怖い顔してどうしたの三雲っち?」
「嗚呼、悪い。少し考え事だ。」