「ハッピーバレンタイン、いや違う。お世話になっているから別に変な意味ではない…。」
ブツブツと龍樹は迅の部屋前で行ったり来たりを繰り返している。
ガチャリと戸が開きお目当ての人物が顔を出す。
「何ブツブツ言ってるの?
聞こえてるんだけど。」
「べ、別に。その、日頃の感謝の気持ちで変な意味はありません。」
顔を若干赤くして渡す龍樹にカラカラと笑う迅。
「ははは、これは予想外だ。
ありがとな。」
全然そうは思ってないくせにと悪態を吐きたくもなるがぐっとこらえて口を開く。
「部屋の中で食べてくださいよ?誰かに見せびらかしたりこのことを話さないでくださいね?」
ガラじゃないことをして今すぐ立ち去りたいという態度の彼女を腕の中に閉じ込めて迅は言う。
「俺の後輩は本当に素直で可愛いな。」
その言葉で限界がきたのか言葉にならない悲鳴をあげて肘鉄で抱かれてる腕を振り払い走り去っていく。
「ありゃりゃ、いじめすぎたか。」
床に落ちたプレゼントを拾い迅は笑みをこぼす。
そこには姉妹で作ったであろうチョコクランチが透明な袋に入れられていた。
「お返しは何で機嫌をとるか…。」
なんて確定しつつある未来に迅は笑みをさらに濃くするのであった。