「薙原、これ。」
教室から出ようとする彼女を呼び止めて小袋を渡す。
五条先生から聞き出すのは癪だが彼女がドクターペッパー以外で喜ぶものがかりんとうらしい。
「…お返し?」
「ああ。」
「開けていい?」
無言で頷くと彼女は少しだけ微笑み、それをつまむ。
「美味しい、ありがとう恵。」
そう笑う彼女の頭をなんとなく撫でる。
小動物のような愛らしさに似たそれは俺の心をキュッと掴んで離さない。
「…ふふっ。」
「何がおかしいんだよ。」
「今日の恵、眉間にしわ寄ってない。
いい事。」
嗚呼、そうか、薙原の隣にいると俺は少なからず穏やかなんだなと自覚する。
「恵も食べる?」
甘いものは苦手だが今日くらいはいいかと素直に受け取る。
「うん、美味いな。」
自分で選んでおいてなんだがくすぐったい気持ちになる。

「あー!伏黒達何食べてんだよー!」
穏やかな時間を過ごしていたのに虎杖の大声で中断される。
空気の読めねぇ奴だと思いつつ最後の一つを食べ終えた薙原が教室のドアを開ける。
「ゆーじにはあーげない。いこ、恵。」
「ちょ、ま、待て!」
俺の手を取り、引かれるままに教室を出る。
さて、どこへ行こうか。