ホワイトデーという日はバレンタインデーにお返しをするものだと聞く。
だが男同士で他意はないと同僚の千春は言ったお返しはいらないと。
(ですが、あの人に借りを作るのも癪だ。)
同僚として親しくする分には五条や家入よりかはフランクな付き合いをしているつもりだ。
だが奴の趣味といえば女の足とおでんという何ともいえない趣味で七海はため息をつく。
エロ本というものをプレゼントするのは同僚としてどうかと思う。
かといって菓子をプレゼントするのも千春にはもったいない。
(おでんが無難だろうか。)
そう思い、スーパーで具材を揃えてガスコンロを設置して煮込む。
SNSで七海の自室に来るようにメッセージを残すとすぐに既読がついた。
『わかった。
任務帰りだからすぐ寄る。』
それだけを確認ししばらく具材を煮込んで待っていると戸が叩かれる。
「おいーっす!呼ばれて飛び出てジャジャジャーン!
呪術師アイドル〜千春ことちーくんでーす!」
20代も後半に差し掛かってる同い年の男が何やってんだかと半ば呆れる。
これが先輩方ならウケるだろう。
「…はぁ、何やってんですか。」
「ノリ悪いぞ七海くぅーん。
で、なんで俺呼ばれたんだっけ?」
ドカドカと無遠慮に上り込む千春。
「バレンタインデーのお返しです。
貴方は菓子を食べないとお聞きしたのでおでんにしてみました。」
和風だしの香りが部屋いっぱいに広がり頃合いだろうと菜箸で具をよそう。
「おお!ナナミン、料理できたんだなぁ。」
えらく感心する彼に口元だけ緩ませていう。
「具材を買って煮込むだけですよ。大げさな。」
「いやいや、火加減がわかってねーとこういうのは焦がすしなぁ。ありがとな!」
よそわれた器を受け取りながら彼が笑顔で頬張る。
男二人の昼食がこんなにも賑やかになるとは予想外だ。