ホワイトデーのお返しといえば一般的にいえばお菓子だ。
まあ、俺のサイドエフェクトによれば龍樹はお菓子が苦手だから物でお返しするんだが今年はどうも機嫌が悪いらしい。
「さて、どーしたものかねぇ。」
どの未来をたどっても泣かれることは確実らしくため息をつく。
一番最善のルートは映画に行くことだが彼女のシフトに空きがない。
最悪、京介辺りに代わってもらうかと視野に入れつつ電話をかける。
「もしもーし、こちら実力派エリートだけど。」
「…イタ電なら切りますよ?」
「ちょ、待った。
イタ電じゃないから切らないで。
来月の14日暇?」
三門市の学生はほぼ春休みに入っているはずだ。
「シフト見てないんですか?
入ってましたけど。」
やや低い声で言われて電話越しにたじろぐ。
余程バレンタインのことを根に持っているらしい。
「先月のことは悪かったって。
龍樹さえ良ければ映画見に行かない?」
少し考えるような声が聞こえて返事が返ってくる。
「…連勤にしようっていったのは隊長ですし。」
「三毛島さんから許可はもらってるし千聖ちゃんは早々にお休みとってるけど?」
はぁ…と重いため息が聞こえて苦笑いをする。
どうやら折れたらしい。
「仕方がありません。
オペレーター無しではキツイですし、代わってもらえるように話しておきます。それでいいですか?」
「いや、その事なら俺に任せて。
14日にオシャレしてきてくれたらいいから。」
「なっ、なんですかその条件は!
却下です却下!」
焦ったような声で恥じている彼女に苦笑いをこぼしながらハイハイと諭して電話を切る。
「ハイハイ、じゃあ楽しみにしてるからね。」
「ちょ、先輩!」
今頃、俺の為にあれこれ悩んでくれる彼女が少しだけ可愛いと思ったのは内緒だ。