※大規模侵攻後の二人の関係が少し発展してます注意!
今日は露乃の誕生日だ。
姉である龍樹さんは家に帰って手料理を振る舞うらしい。
空閑と千佳はチョコレートお菓子の詰め合わせを二人で決めて送るらしい。
僕は昨日、花束を送ったばかりだ。
(贈り物はもういいだろう。)
便箋と封筒に手をつける。
手紙なんて気恥ずかしくてあまり書かないがこの気持ちは面と向かって言いづらい事だ。
『露乃へ
何を書いていいかわからないからとりあえず君に対して思っていることを綴ろうと思う。
本来なら口で伝えるべきなのかもしれないけどそれはごめん。
まずは誕生日おめでとう。
そしてこれからも傍で共に喜びを分かち合えますように。
まだ、気持ちの整理や僕にはやるべき事が山積みだけどきっと露乃の気持ちと向き合うから。
それまで待ってて。
無責任かもしれない、無神経な言葉を言うかもしれない。
それでも君の好意や笑顔はとても嬉しい。
それだけは嘘偽りなく伝えられるから。
三雲より』
こんなものかとペンを置く。
彼女の気持ちを決してないがしろにしたいわけでもなくかといって答えるわけにもいかない。
やるべきことをした上で心の余裕を持って気持ちと向き合いたい。
それが僕が選ぶ最善だと便箋を折りたたんで封筒に入れた。
*
お隣のインターホンを押して露乃を呼び出す。
「一昨日ぶりだね。」
「嗚呼、今年はこれだけしか用意できなかったけど。
誕生日、おめでとう。」
手紙を差し出すと嬉しそうに彼女は笑う。
「いいよ。病み上がりなんだから無理しないで。」
「無理なんてしてない。
雛菱と…皆んなと一緒に居られるだけで僕は頑張れるから。」
その言葉に露乃はどこまでも彼は真面目で優しいんだと確信する。
「…頑張らないでよ。
私も玉狛の人も皆んな、皆んな頼って欲しいと思ってるよ。
だから…だから…。」
互いに言いたいことはわかっているだが目的の為に踏み出せない。
どうすれば正解なのかどう気持ちを伝えていいかも彼らにわかることではなかった。
「ありがとう。その気持ちだけで嬉しいよ。
手紙は後で呼んでくれそれじゃあ。」
「うん、絶対、返事書くからね!」
その後、手紙を読んで笑みを作る露乃は便箋を取る。
「修君が思ってるほど私は我慢強くないんだよ。」
その気持ちは互いに重なり合いつつも伝えられないもどかしさを秘めている。