スナイパー合同訓練後。
いつものように佐城さんと談笑をしている。
学校の様子やテストが近い事。
そして夏休みの予定も聞き出すつもりだ。
嵐山隊のスケジュールはかなりタイトだが休日がないわけではない。
後は彼女の都合だけだ。
「ふふっ、佐鳥さんは学校でも人気者なのですね!」
「へ?ああ、まあ、明るいことだけが取り柄みたいな感じ…だから。」
「そんなことありません!
佐鳥さんの射撃、素晴らしかったですよ。
私もあんな風に撃ってみたいです!」
うーん、俺は教えることが苦手なんだが悪い気はしないかも。
「えへへ、そう言われると気合い入っちゃうなー。
あっ、佐城さんさえ良ければ寄り道とかしてしてみない?」
そろそろ二人きりでどこかへ寄り道してみたい、学生らしいことをしてみたいと思っていたところだ。
頃合いだろうと俺から声をかけると彼女は一瞬にして満面の笑みを浮かべる。
「はい!ぜひ、ご一緒させてください!」
笑顔が眩しくて今日も素敵だ。
じゃなくて、問題はどこへ行くかだよなぁ。
いきなりゲームセンターはお嬢様には厳しいだろうしかといって映画を見られる時間帯では無い。
もうすぐ日も沈む時間帯なのであまり長居はできない。
ボーダー本部に近く、尚且つ気軽に寄れる場所といえばファーストフード店が市街地にあったなぁと思い出す。
「佐城さん、寄り道するなら、ファーストフード店でいいかな?
ほら、もう日暮れだしあまり遠いところには行けないからさ。」
俺の提案に素直に彼女は答えた。
「ファーストフード店ですか?
お恥ずかしながら、あまり行った事はないのですが佐鳥さんと行けるなら光栄です!」
「そうなの?じゃあ、これからもっともーっと面白いところへ行こう!」
「はい、約束ですよ。」
光栄という言葉に浮き足立って彼女の手を引いて幸せ気分で本部を出た。
*
ファーストフード店に着くと店内は若干混んでおり学生やサラリーマンの溜まり場と化していた。
しまったなと思いつつ横の佐城さんを見ると目をキラキラ輝かせている。
彼女曰く、幼い頃に数回、ファーストフード店に入ったことがあるらしいが混んでいる時は初めてらしい。
「佐鳥さん、私は注文の仕方がわからないので席を取っておきますね。」
そう言って空いてる席を探す彼女。
気を使ってくれるのはありがたいが食べたいものを聞かないと。
思わず、手を掴んで呼び止める。
「待って。」
「なんですか?」
不意に振り返って顔を近づける佐城さん。
シャンプーのいい香りが鼻孔をかすめる。
いい匂いと柔らかい手の感触を意識しながら顔をうつ向かせ、聞く。
「えっと、その、何か食べたいものがあるかなーって。」
「佐鳥さんにお任せします。
お金はお支払い致しますので後でレシートを見せてください。」
するりと手を離される。
お任せかと少しだけ考え込む。
佐城さんはお嬢様だ。
下手に気を遣って失敗するよりかは本当にオススメのものを出すべきか。
*
列に並んで悶々と考え込んでいると順番が回ってきた。
いらっしゃいませという聞き覚えのある声にハッと顔を上げると見知った顔。
「と、とりまる?!な、何でここに。」
「バイト中。ご注文は?」
「そうなんだ。
んーじゃあポテトMセットで飲み物はコーラ。
後、単品でバニラシェイク一つ。」
驚きつつも注文すると顔色一つ変えずにとりまるはレジを打つ。
会計を済ませて、横にずれた時にボソッと一言。
「彼女とデートか?」
「か、かの、彼女だなんて…。
ち、違うからな!」
俺の慌て様にフッと軽く笑い、冗談だと言われる。
全くもって、彼の冗談は冗談に聞こえない節があるので心臓に悪い。
商品を受け取って席まで行く。
にこやかにおかえりなさいと佐城さんが迎えてくれる。
嗚呼、やっぱり、可愛い。
「さぁ、どうぞ。」
向かいの席に座りながらシェイクを手渡すと彼女はありがとうございますと素直にお礼を言う。
思い出したように彼女は代金のことを言い出すがここは俺を立てて欲しいというと少し不服そうに口を噤んだ。
この時はまだ、良かった。
俺が長話をして彼女を困らせなかったらこじれなかったかもしれない。
【To be continued】
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