CCGアドゥシール


「おはようございます!」

月曜日。Newクインケ大和守安定(以下:やすさだ)の入ったアタッシュケースを片手に、元気よく平子班オフィスのドアを開けて挨拶した途端。

「せ〜のっ」
「「「「おかえり〜!」」」」

クラッカーで歓迎された。

「わああ〜こんなことしてくれるんだから〜平子班大好きィィ〜〜」
「アッハッハ!泣いて喜んでくれるとこっちもやり甲斐があるぜ!希咲ちゃん!」
「おかえりなさい、希咲さん!」
「ただいまぁぁあ〜」

朝から涙ぐむ。というか涙が頬を伝ってて最早うれし泣き。

「希咲」

奥から班長が姿を現した。

「班長……っ」

ついに、決壊した。

「あーっ、班長が希咲ちゃん泣かしたー!」

ミッチーが騒いだ。そこに、「いや、既に泣かしたの俺らッス」と冷静なツッコミを入れる梅津くん。

「おかえり。希咲」

そう言って頭をよしよしと撫でてくれる班長。

「班長〜〜〜戻れてうれしいです〜この2年間を糧にホープと認めてもらえるよう結果を出します〜」

こうして私は無事、平子班に復帰したのだった。

「よし。ではさっそく捜査に出かけるぞ」
「はい、班長!」

嬉し泣きですっかり目を腫らせた私は涙を拭くと、Newクインケの入ったアタッシュケースを手にする。も〜気合い入れてメイクしたのに落ちちゃったよ〜。

「懐かしいな」
「ああ。女子がいるとやっぱ華やぐ」

とか道端くんたちが言ってるのが聞こえて来た。班長が、どこか安らいでるような笑顔なのは、私の目がおかしくなったんじゃないよね?
平子班全員で、エレベーターに乗り込む。

「希咲は、クインケが新しくなったらしいな」

班長の言葉で、みんながクインケに群がって来た。

「どれをやったやつ?」
「次はどんなのにしたんだ?」

懐かしい、この感じ。思わず笑みがこぼれる。

「はいはい、みなさん!戦闘の時に、お披露目で〜す!」

すると、ええ〜と一同ナイスリアクション。「ここでお披露目しようぜ〜」なんて、ミッチーが悪ノリしだす。

「ああ俺が悪かった。新人じゃないんだからお前らもよせ」

そう言う班長も笑っていた。ああ……私、本当に平子班に戻ってきたんだなぁ。
それからは、これまで通り喰種捜査官としての激務に忙殺された。会議、捜査、レポート提出、会議、捜査、レポート提出、捜査、会議、掃討作戦。レポート提出。

「ああ〜……つかれ、たぁ……」
「これからさらにレポート提出なんて、しんどすぎるよなあ」
「早く帰ってお風呂入って眠りたいねえ〜」

なんて口では言いつつも、私は楽しいのだ。CCGに入って喰種捜査官になって良かった。それに、もうすぐお給料日。翌日はお休みをいただけて、その次の週からは、会議、捜査、レポート提出と、私達平子班は実に順調にこなしていた。平子班の今期の成績も、ピカイチ。

「朝礼の最後だが、重要事項だ」
「はい、班長」

班長がすっと一同を見回した。

「ルーキーが、うちの班に入ることになった」

ほう。

「伊東倉元ッス。適当によろしくお願いしやっす」

ルーキーが、来た。