CCGコスチューム談義


ずっと思ってた。
なぜCCG捜査官は、スーツなのだろう。捜査官は喰種と戦ったりするのに、スーツだと動きづらいと思う。

「絵面がカッコイイからじゃない?」

なるほど。
確かに、スーツは三割増しだと言うよね。そっか。カッコイイからか。なら良いかー。って

「声に出てました……?」

アカデミーを卒業したばかりの、二等で配属された平子班。
班長が戻ってくるまでの間、待機中の会議室での談笑は、いつものこと。
私の言葉に、伊東一等がクスクスと笑った。

「全部出てたよー?てっきり話しかけられてるのかと思ったけど、違った?」

ケタケタ笑う伊東さん。私はうっかりに赤面する。しかも敬語ですらないのに、笑って流すなんて。ああ伊東さん。

「でもスーツ姿の女性ってさ……良いと思わない?」
「思う」
「そうだな」
「分かる」 

伊東さんが班員に同意を求めると、即座に同意の声をあげる、道端さん、梅野さん、根津さん。
しかも、うれしかったのか声高に白熱しだす。

「特にコートを羽織る時!あれ、良いよね!」
「それな!」
「オレは、常にジャケットもコートもいらないと思う」
「ああ、ガン見ものだな」

先輩方!セクハラですよーーっ!

「しかしさぁ、希咲ちゃん。自分からそんな話を振るなんて、どういうつもりなのかな。ん?」
「そ、そんなつもりでは、」
「何を騒いでいる。行くぞ」

タイミング良く戻って来た班長に、助かったと安堵した。今度何かあればもう我慢の限界で、アキラさんにみなさんのこと言いつけちゃいますからね!

「班長〜!みなさんがセクハラするんです〜っ」

平子班、唯一の常識人・平子丈班長に泣きつく。

「タケさーん、誤解スよ。希咲ちゃんは……そう、誘い受けッス」
「希咲は誘い受けなのか」
「」

常識人の胸に飛び込んだはずなのに。全然慰めてくれるどころか腰に手を回され抱き寄せてきたエロ班長に、味方ゼロであることを悟る。
あの優秀な平子班が、まさかセクハラ軍団とは。CCG内で誰が思うだろうか。


***


「――ってことです、タケさん。希咲ちゃん、どう思います?」
「どうって……」

またその話を蒸し返すんですか!伊東さんもうやめてください!
3人で飲みに(強引に連れて来られた)赤ちょうちんで、私は一人赤面に悶える。

「――けしからんな」
「ですよね〜!」

けしからん、て……私はもう平子班長には何も期待しないことにした。

「きゃ!」

突然両肩を掴まれて、強制的に班長のほうへ向かされた。

「希咲。願望は、隠さず言って良いんだぞ?」
「えっ…?いえ、違……!って、そんなマジメな顔で言うことですか!誤解ですからね?!」

なんとか誤解を解かなければ!

「誤解〜?そんなことはないよねぇ〜希咲ちゃん?」

もう伊東さんは黙っててくださいっ!
すると、班長を挟んでカウンターで一列に座った席で、伊東さんが立ち上がって私の隣に移動してきた。
ぞしてなぜか私の手を掴むと、立ち上がらされた。

「伊東さん!?」

伊東さんによって簡単に立ち上がらされた体は、既に椅子から離れる。

「さ、行こうか希咲ちゃん」
「おやっさん、お勘定」

二人の発言は同時だった。

「え…待ってくださいっ!私っ、本当にそんなつもりじゃ……!」
「倉元。先に希咲連れて出てろ」
「はい!タケさん」
「無駄に良い返事ですね!あ、班長ごちそうさまです、じゃなくて!うわあん!」

その後、班長宅にて女のスーツ姿(中のブラウス)の良さをトクトクと説明されたのだった。
……二人から、実践付きで。

「「なので!スーツで良いのです!」」
「頭おかしいです!!」

fin.
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頭おかしいのは私か。