女子だけでお茶会
「それで、雛花ちゃん」「はい。なんですかお香さん」
「その、本当に……鬼灯様と婚約中なの?」
「…………」
今日は、女子だけでお茶会です。
お香さん宅で畳でお抹茶を飲みながらガールズトークする会です。
私は天国の住人ながら、鬼灯様のトラップにかかって補佐官の補佐をしています。
そのつながりで、地獄の獄卒さんたちとこうやってお茶会するまでになりました。
「あ〜私もそれ気になってたのォ〜」
「詳しく聞かせてぇ〜ん」
牛のゴズさんと馬のメズさんが急に艶めきました。
「私も気になります〜」
「ぜひ聞かせてほしいと思ってたんですよ」
芥子ちゃんに樒さんも興味津々といった顔で私を見つめてきます。
ちなみに、芥子ちゃんとは既に仲良しです。初めて会った時に、天国の住人であることを話したら鬼灯様の補佐になった経緯を聞かれて芥子ちゃんには説明済です。
芥子ちゃん曰く、私と鬼灯様が合コンに参加する下りが一緒だからということで。
しかし。
はあ……あの鬼神め。帰ったら(閻魔殿に)アイツしめましょう。
「実は、かくかくしかじかで」
私は出会いと、補佐官の補佐をするに至った経緯、婚約者というデマを、芥子ちゃんには説明済みですが、みなさんに説明しました。
「そうだったのォ〜」
目に見えてガックリしてる牛頭馬頭さんコンビ。なんかすみません。とは言え私も嘘が広まるのは困るので……。責めるなら鬼灯様にお願いしますね、鬼灯様に。
「でも〜それって……ねェ〜?」
「はい……たぶん、お香さんと同じこと思ったと思います」
お香さんと芥子ちゃんを横目に、お茶をすする。え、何がです?顔をあげて二人を見つめる。
「衆合地獄の獄卒同士でも話してたんだけど。鬼灯様、そろそろ結婚したら良いのにって」
お香さん、何の話をされてるんですか?
「ついに、いい人を見つけちゃったのかしらね」
そして私を見つめて、ニコリと微笑むお香さん。
「でも肝心の雛花さんが、そうは思っていないようです……」
なぜか、ショボンとして俯く芥子ちゃん。
「肝心はそこよねえ……」
「ええ……」
え。え。樒さんに牛頭馬頭さんまで。私だけ置いてけぼりのようです。
とそこへ、鬼灯様から持たされたケータイが鳴り始めました。
「はい。……分かりました。すぐに戻ります。……お茶会はお香さんのお宅にお邪魔してましたよ?……はい。では」
通話を切ってパコン、と閉めてお暇することを言うため顔を上げた途端。なぜか、全員私を見てニヤニヤしています。
「はい……?」
「いィ〜えェ〜?」
牛頭馬頭さんがとてもニヤニヤしています。
「……それでは、戻りますね。お香さん、ご馳走になりました。また近いうちに集まりましょうね!」
「ええ、ぜひ!」
「またです〜、月見饅頭食べに行きましょうね、雛花さん!」
「ええ、芥子ちゃん!では、お先失礼します」
部屋を後にする。一方、雛花がいなくなった部屋では。
「私たちも、解散としましょうか」
「そうですね。私もそろそろ戻らなくては。お香さん、ご馳走さまでした」
「いいえ。お粗末様でした」
「それにしてもあの二人!これからおもしろいことになりそうねェ〜!」
「私たちがキューピッドになってあげましょォ〜!」
「私は、女子である雛花さんの味方です!」
「もちろん、雛花ちゃんの意思が一番大切だわ」
「二人のことは、私たちで見守りましょう」
女子獄卒たちは一致団結するのだった。