「大丈夫だって。気持ちいだけ、痛くしないから」
俺は彼女にそう言い聞かせ、入り口付近だけを行き来させていたオモチャをぐっと奥まで押し込む。するとなまえはヒッと、のどを鳴らして腰を浮かせた。反った首元には、先日の噛み跡がしっかりと残っている。
傑と硝子と同じく学生服が初対面で、最初は普通に可愛い女の子だなあと思っていただけだった。けれども彼女への好意を自覚し想いが通じると、あっという間に独占欲という方向へ愛情が傾く。
彼女を知れば知るほど、話すのも見るのも触れるのも全部自分だけでありたいと思うようになり、次第になまえにも等しく俺にだけ依存してほしいと心の内で求めた。
けれど、それが越えてはならない一線だと僅かに残った理性がブレーキをかける。すると今度はたとえどんな感情下であっても、彼女の心に残る存在でありたいという方へ気持ちが向いた。
制服の下で噛むのも分かりやすく鬱血痕を残すのも、全てはなまえに自分の痕跡を残したいからであり。泣いて嫌がるような事をするのも、それをしたのが俺だと彼女の記憶に刻みつけるためだ。
かさぶたになった首筋を丁寧に舐め取りながらオモチャのスイッチを入れて、持ち手を上下に動かす。そうすると、泣き声だったものに甘い情事中と大差ない悦の混じった喘ぎ声が加わった。
「ちゃんと気持ちよくなれるだろ」
「ちがっ……あっ、やっ、……あぁっ!」
振動を続けたまま先端を腹側へ押し付けるとクリの裏側あたりなのか、あからさまに反応が良くなる。よしよしと頭を撫でてから、開きっぱなしで飲み込み切れなかった唾液を、俺の舌で彼女の口の中に押し戻してやった。
それでキスしてもらえると思ったのか。顔を上げると、涙の膜が張った瞳がこちらを物欲しげに見ていた。俺だけの女の子は素直で本当に可愛い。
「一回イけたら、いつもみたいに優しく抱いてあげるから。安心して」
くん、と子犬のような返事が返ってきたところでさらにオモチャを激しく動かすと、なまえは従順に善がり乱れて、俺の命ずるがままきちんと達した。
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横を向き、すぅすぅと穏やかな寝息を立てて眠る彼女の肩口まで、しっかり毛布を掛け直してやる。無防備に晒されるうなじには、うっすら血の滲む新たな傷口が数か所増えていた。他人事のように表現しているが、間違いなく先ほどの行為の最中に俺がつけたものである。
目を閉じていても泣き腫らしたなまえの目尻は赤く、痛いと言って大粒の涙がこぼれ落ちた際のことを思い出すが、罪悪感はとうの昔になくなっていた。自分の存在を彼女の心に刻みつけなければならないという使命感に加え、俺だから許されていると優越感に浸る。
掛け直したばかりの毛布を捲り、気を失ったかのように眠り続けるなまえを奥の壁側へ押し込むようにして、自分もベッドに潜り込んだ。寮の備え付けのベッドは狭く、膝を曲げてさらに彼女を抱き込む。きっとなまえは、明日俺が目を覚ますまで自由に身動き出来ないだろう。まさに雁字搦めだ。
彼女に関してはもうどうしようもなく、後戻りは出来なくなっていた。