チロチロと子猫のように懸命に伸ばされる舌は、視覚的には相当くるモノがあるが刺激としては物足りず。添えられているだけの小さな手で、もっと強く握ってほしいとか扱いてほしいとか。もどかしくていっそのこと、強引に喉の奥まで押し込んでしまいたい思いに駆られる。
 だがそんなことをしたら幼い婚約者にとっては、強要された不快な行為として苦い記憶へと刻まれてしまうことになるだろう。僕としても、これ以上なまえから嫌われる材料を増やすことは本意ではない。
「先っぽ咥えられる?」
「——はい」
 顔を上げ、僕を上目遣いで見つめるこの子はどこまでも従順だ。はむっと雁首までを口に含んだところで、根元を支える彼女の手に自分のものを重ねて上下に動かす。正直痛いくらいに勃っているので、さっさと吐精してしまいたかった。
「っ、……!」
「んむっ、ん」
 ヤバい出るとなまえの肩を押したつもりが、登校前の制服を汚してはいけないと理性が制止して、半端な動作になる。すると彼女を驚かせてしまったのか、きゅっと窄めた口が刺激となり咥内へそのまま射精してしまった。
「!出しな、ごめんね」
 余韻などなく、慌ててティッシュへと吐き出すよう手を伸ばす。しかしなまえはそれを受け取ると、唇と口まわりを拭っただけだった。
 ……まさか全部飲んだ?勢いのなくなった自身の後処理をしながら、僕は彼女を盗み見る。
「大丈夫です。お口ゆすいできますね」
 多分そうなのだろう。それだけ告げて、折り畳まれたちり紙を手の中へ隠してしまった少女は、洗面所を目指して行った。



「何時に行くの?」
 再び腕の中に戻ってきた幼い婚約者に、僕は問いかける。彼女の意思決定を尊重したいのに、一度こんな風にしてしまうと外へ出したくなくなるのだから難儀なものだ。
「えっと、ここからだと……そうですね、二十五分になったら」
「そっか、残念」
 その言葉を聞いて、なまえはなんとも言えない申し訳なさそうな表情を浮かべた。僕が授業へ行くなと言ったら、少女がすぐに欠席連絡を入れることは分かっているが、それが彼女の本意でないことも理解出来る。籠の中では自由にさせてやりたいのに、最近それすらも危うくなっている。
 それに午後からは『婚約者』ではなく『さとる先生』として、この子の前に現れなくてはならない。予定がずれ込み、つい一時間ほど前に帰宅したばかりなので仮眠も必要だ。
 だから仕方なくあと五分弱の時間で、彼女をどう解放するかの方に僕は思考を向けることにした。
Blue moon @