熱を持った自身の陰茎に、避妊のための薄い膜を被せたあと、手を添えてその先端を少女の秘所の入り口へと持っていく。
 時間を掛けて行った前戯のおかげか、割れ目からくちゅりと音が鳴ったものの、ナカは未だに狭く奥へするりと進んでいかない。何人もの男と寝ている女達と比べるのもどうかと思ったが、やはり経験が少ないからか、どうしてもなまえの身体は固い。
 ふくよかさとはかけ離れた、少女ゆえの肉付きの少ない太ももを撫でると、なまえはハッとした表情を浮かべて、意識的に深い息を吐いた。
 それでもあまり変化はなくて。これ以上のお預けは大人の僕でも、とても我慢ならなくて。せめて雁首だけでもと、ねじ込むように体重をかけると、なまえは顔を顰めた。
「ごめんね、痛かったかな」
「……大丈夫です」
 可哀想に、虚勢である。汗で張りついた髪の毛を横へ流し口付けを落とすと、先程までの努力が不思議なほど、一瞬で少女の強張った身体の力が抜けた。隙をつくように彼女の膣内をわり開くと、ようやく僕のモノが七割ほど収まった。
 多分なまえは、まだ快感を拾いつくせない慣れないセックスよりも、ドロドロに溶け合うようなキスの方が好きなんだと思う。
 小刻みに腰を動かしながら、チロリと遠慮気味に差し出された舌を絡み取り、彼女の小さな唇ごと食べ尽くしてしまうような口付けを続ける。咥内で響く声を押し戻すように唾液を送ると、なまえはごくりと喉を鳴らしてそれを飲み込んだ。
 名残惜しくも唇を離すと、涙目になりながら真っ赤な顔で僕を見つめる少女がそこには居た。
「なまえは本当に可愛いねえ」
「さとるさんも、私にはもったいないくらい、カッコいいです」
「ありがと」
 ひとまわりも下の婚約者に、ここまで心奪われる日が来るとは思わなかった。
 申し訳ないが僕はキスだけではイけないので、なまえの薄い腹を撫でてから、奥を開拓していくような腰の律動を再開するのであった。
Pink moon