すでにシワくちゃになった白いシーツの上についた両肘の間には、枕が意図的に置かれており、柔らかなそこになまえは顔を埋めている。
「んっ……、ふっ、はっ、んん……」
 なまえの小さな唇から漏れ出す声は、悦楽から出てくるものというよりは、苦痛を和らげるために吐き出していると言った方が近いのかもしれない。
 僕の目線の先で、傷ひとつない小さな背中が、ヒクヒクと揺れている。けれど可哀想に、と思う心は他人事の域を抜けなくて。
 まさか後背位で挿れたことにより、ここまで痛がるとは思わなかった。回数を重ねて、ようやく正常位でちゃんと入るようになってきたばかりだというのに、また少女のなかでセックスが苦痛を伴うものだという認識に戻ってしまいそうだ。
 浅くしか突けないので、なまえの前のめりになっていく身体と引けていく腰を掴み直すと「ひっ、」という叫声をあげて、キツく中を締めあげた。
「ごめんね、痛かった?」
「……いえ、大丈夫、です」
 口ではそう答えても身体は正直で、さっきのは追い出されるかと思った。
 律動を始める前に、彼女の腰に置いた指を陰核へと回すと、付近の陰毛まで湿り気を帯びていた。
 濡れない訳じゃないんだけどなあ、と今夜自身が行った前戯を思い返し、見返りとしてこれから行う行為の正当性を、僕は勝手に得ようとしている。
 少女を襲う想像の域を出ない痛みを誤魔化すように、イイトコロを重点的に触ると、やっぱり身体は正直で、先程までにはなかった甘ったるい声が聞けた。
「ちゅーしよっか」
「ふあ、あっ、んん」
 上半身を倒したところで、そのまま崩れ落ちそうになる彼女の上体を抱え直し、真っ赤になった耳に口付けを落とす。
 すると、キスを強請るように薄く口を開いたなまえが、身体をねじってこちらを振り向いた。紅潮した頬と、薄く張った涙の膜がたまらない。

 ——だけど、ごめんね。
 彼女の上唇にだけちゅっと口づけを落として、僕は身体を起こした。そして自分の動きやすいように足を開いて、丸いおしりに打ちつけるように腰を振る。
 僕の手が一周しそうなくらい細いお腹周りも浮き出たあばらも、誰が見るより当然に発展途上の少女の身体だ。
 けど、きっとどこでどう生まれようと、僕は彼女を手に入れただろうから、堪え性がない自分の方が大人で、なまえが子どもなのは運が悪かったとしか言い様がない。
 やはり彼女の喚声が耳に届こうと、とてつもない快楽のなかにいる僕には、無関係なところで響くノイズにしか聞こえないのであった。
Strawberry moon