「なんか前よりおっぱい大きくなったよね」
 ソファーに腰掛ける僕を、跨ぐ形で膝立ちになったなまえの胸を下から掬う。成熟した大人のそれには程遠いものの、以前は多少の膨らみしかなかった少女のその場所も、この半年ほどでちゃんと女の胸だと認識できるほどには成長を遂げていた。
「そうですかね」
 僕の肩に手を置いたなまえは、言葉を口にしながら首を傾げる。身長も止まりかけてますしと続けるのだから、本当に覚えがないのだろう。下手をすれば一ヶ月近くなまえを抱けない僕の方が、彼女の身体について、前回の記憶として頭にこびりついているようだ。
「えっちなことしてるから、ここだけ成長したのかなあ」
 伸びしろはありそうだが、有り余るには遥か遠い。手の平にすっぽりと収まるなまえのおっぱいを、僕はふにふにと揉む。そして指全体で女性特有の贅肉の柔らかさを堪能しつつ、立ち上がった先端を口に含んだ。
「っ、知らないです」
 恥ずかしいのかくすぐったいのか、なまえは僕の言葉を否定しながら身体を捩った。それでも構わず、僕の口の中でぷっくりと芯を持つ先っぽに刺激を与え続ける。
 はじめから胸の感度が良いことは、嬉しい誤算だった。クリトリスなんかと一緒に触りながら、彼女の身体にここが気持ち良いところだと錯覚させるのは、とても簡単なことだったからだ。
「んっ、あんっ、」
 なまえのやらしい喘ぎ声は、確実に大きくなっていた。ちゃんと気持ち良くなっている証拠だと僕は思っている。
 しかし今日に限って、彼女は肩に置いていた手で僕を押し除けようとした。
 もちろん少女の細腕で怯むような鍛え方はしていない。多少は驚いたものの僕は一ミリも動かなかったし、彼女の言動に強い意思は感じなかった。
 それでもなまえは、自分で自分の首をしめている。そういうことをすれば余計に僕が追いかけたくなるのを、彼女はいつまで経っても学ばない。
 舌先でつついていただけで、離れていこうとした乳首を軽く噛んで、当てつけのように僕の口内から出ていくのを拒んでやった。
「っぁ、」
 深く咥えると鼻先がついてしまう薄い胸板は、しっとりと汗ばんでいる。服を着たままの僕に対して、なまえだけが素っ裸だった。
 おっぱいと同じく、少しだけ肉付きのよくなった尻を撫でつつ、逃れようとする身体を押さえつけるように自分の方へ抱き寄せる。
 そして口を窄めて、さらに外側からも力を加えた。乳輪に沿って鬱血痕もついたかもしれない。悲鳴に近い歓声も聞こえた。しつこい男は嫌われると、僕に説いたのは一体誰だっただろうか。
 やっと大人しくなったので、僕はそのままなまえを見上げた。だが予想外に彼女は焦点を遠くに合わせ、まるで涙を堪える時と同じように、鈍い瞬きを繰り返しながら唇を噛み締めていた。
 これはすでに気持ちよさよりも、痛みが勝ってしまっているのだろう。罰を与えている訳ではないので、なまえにそんな記憶が残ってしまうのは、僕も望んでいない。
 大人の威厳もなく焦燥感を隠せないまま、僕は慌ててそこから口を離し、今度はただ触れ合うだけの意味でなまえを抱きしめた。
 するとすぐにドクン、ドクンと彼女の心臓の鼓動が肌を伝って僕へ響いた。ちゃんとなまえがここに存在し、僕の腕の中にいるという証明だ。
「……意地悪してごめん」
「大丈夫です」
 年の功なんて言うけれども、どうして僕となまえはこうも上手くいかないのだろうか。なんでも出来る自負はあれど、今夜も彼女の心だけは手に入らない。
Harvest moon