セカンドコンタクト

あれ以降は残業するにもなるべく遅くなり過ぎないよう気を付けている。
それでもそんな非現実の出来事はすぐに忘れてしまうもので、いつもと変わらない日常を過ごしていた。
休日。久しぶりに実家へ顔を出した帰りで
病院からの帰りだった轟と遭遇。

「もしかして君、ショート?」
最初に気付いたのは真紀。夕暮れに紛れるような赤と白のコントラストが目に留まり、思わず声を掛けた。
晴天の下であれば目立つだろうそれも
轟の方は一瞬怪訝そうな顔をしたけど、すぐに「あぁ」と納得した顔で立ち止まった。

その特徴的な髪色を忘れることはなかった。


「あの時は助けてくれてありがとうね」
「…別に、ヒーローがやるべきことをしただけだ」

「アンタ名前は何て言うんだ?」
「え、私は吉坂真紀って言うんだけど…」

「じゃあな、吉坂」

あの、私多分貴方よりも年上だと思うんですけど?という言葉はコミュニケーションを円滑にする為の社会人スキルを利用して飲み込むことにした。