そして此の辺りで、読者諸君には分かりやすく示されていた違和感の正体に触れていかねばならない。第三者の存在である。
 二人の声に紛れてカリカリと忙しなくペンを走らせる音がしていた。音の発信源は間違いなく此の部屋の中だがしかし、現時点でペンを握る人物など此処には存在していない。

「ねえ!?火村先生はどう思う!!」
『苛烈な云い争い、大変結構!しかしだ。ポオ、アリス。約束の日まで一日を切ってしまったよ。君達に答えの見えている問答を繰り返す悪趣味があるのなら止めはしないがね』
「え?…………ああーーっ!時間が無い!!」
「うううう!アリス!我輩、我輩如何すれば!!?」
「もーー泣くなあーーー!!」

 ぺたりとした有栖の腹に頭をくっ付けて、膝の上の本を覗き込んで右往左往し出すポオの行動から察してもらうに、其れこそが第三者の正体。
 有栖川 有栖の異能力。「火村英生に捧げる犯罪」、意思持つ洋書の彼であった。
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