確かに生まれ変わりたいと願ったこともある。




両親が事故で死んでしまった時ひどく冷静だった自分は「どこぞの漫画みたいな」と思う一方、いきなり世界が180度回ってしまったような気持ちにさえなった。




原因はおそらく遺産だろう。生前両親はなんかかなり稼いでいたらしく両親亡き後、もちろんその遺産は私に来るわけでそれを狙って多くの人が私の前に現れた、知らない人も沢山いたが。それを全て突っぱねて一人で暮らしてきた、幸いなことに成人して立派な社畜として人生を過ごしていたので誰と争うことなく遺産は私のところにやってきた。





そして私はなぜか人生2回目のスタートを切った。




人生2回目を迎えた私は元気な女の子として生まれ、なるほど普通な家庭で育った。まさか、また小学校なんぞに入って「1+1=」なんて聞かれ手をあげる時代が来るなんて思ってもみなかった。それは中学校、高校しかり、「sin、cos、tan」なんて社会に出たって使わない方式を散々覚えさせられた。しかいそこは人生2回目。小学校、中学校、高校と学年で上位をキープし続ける私に担任も鼻高々だろう。そして大学に進学をし、ただいま大学3年生。




平穏な世界を望みはしたものの、人生2回目を迎えた時点でそれは遠い彼方へ捨ててしまっていた。私の前には今小さな小さな名探偵が「あれれ〜、おかしいぞ?」と私に言っている。




誤解を恐れずに端的に私の今の状況を説明するならば、「トリップしている。」である。




しかもこんな人がドミノの様に死んでいく世界にだ。いつか私もいう時が来るのだろうか。天空の城のグラサンのあの名言を。


「お姉さん。なんでさっきから挙動不審なの?まるで何か聞かれたらまずいことでもあるみたいだね。」






クソガキ。






聞かれたらまずいことがないわけがない。そもそも私がこの世界にいる理由がまず聞かれてはまずいことなのだから。





「挙動については返す言葉もないけど。クソガキ、言葉使いに気をつけなさい。私はどう見たって貴方より年上よ。」





「あはは、ごめんなさい。」





そう言って小さな名探偵君はその場を去って行ってしまった。






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