財前 適当少女if



「ほんまに先輩ってアホっすよね」



「え!何急に!」


いきなり何なんだ財前君は!

突然そんなことを言い出した財前君に、少しムッとするあたし。

後輩のクセに!


『あたしのどこがアホやねん!』


「アホな要素しかないっすわ。

こないだも先輩、部室でインスタントの焼きソバ作る時ソースの粉入れてから湯入れて、3分経って湯を捨てるときに初めて自分の間違いに気づいてたやろ」



『そ、それは……!』



ば、バレてた…!だれも見てないと思ってたのに……!

そ、そーですよ!

湯捨てる時に茶色の湯が出てきて『焼きソバ腐ってた…!』とも思いましたよ、ええ!

で、でもそんな、そこまで酷いこと言わなくてもよくない?!最近まで関東人だったあたしに!


「相変わらずの百面相っすね」


『だまらっしゃい!』


「誰やねん」



くっそ、おこ、あたしおこですよ。
おこですわ。後輩に馬鹿にされて、…………



『もういい!財前君なんか知らん!
ちーちゃんとジブリについて語ってくるもん!』



ひーんと、泣きながら(嘘泣き)ちーちゃんの方に行こうとすると、



「っ、先輩、」



『うおっと!』



財前君にいきなり手を掴まれ、身体が反り返る。

いやいや、はたから見れば、ただのシャチホコだよこのポーズ!


「いや先輩、気にするとこポーズより、その色気もクソもない声っすわ」


『だまらっしゃい!』


「誰やねん」



ん?この会話二回目?…って違う!



『何!財前君!いきなり腕を掴まれると誰だってシャチホコになるに決まってるやろが!何や!今度は何だ!』


首がもげる勢いで財前君の方に向くと、お決まりの無表情で、



「今千歳先輩のとこに行ったらあきませんよ」


『え、何で』



「………、」



あたしが問いかけるといきなり無言になって、スーッと、目線をあたしから外す財前君。

何だ何だ、え、あたしがブスだから目線を外すとかじゃないよね、え、そうなの?


『ね、財前君、何で?』



「………、やっぱ何でもないっすわ、勝手に行ってください」


そう言ってあたしの腕を離す財前君の顔が赤いような気がした。何でだろう。

けれど、それを見て正直可愛いな、と思ったのは、



内緒。



(千歳先輩のとこに行って欲しくなかったから引き止めたとか)
(絶対言わん)







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つんでれは正義
花死