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可愛いあいつは俺の嫁
バッテリー
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「ちょ、先輩。やめてくださいってば」

 どうして俺は逆らえないんだろう。そうこうしている今も、先輩の手が俺のTシャツの中に入って来る。

「先輩って!冗談きついですって」

 まるで質(たち)の悪い酔っ払いのような状態の先輩だけど、もちろん酔っているわけじゃなく。ただ寝ぼけているだけの先輩に襲われそうになった俺は、

「先輩、ごめんなさい!」
「……おわっ!」

 先輩の手を振り払い、先輩が梯子から落ちた隙をつき、慌てて二段ベッドの梯子を上段の俺の寝床に引き上げた。


 梯子から滑り落ちる時、どすんってすごい音がしたけど、きっと大丈夫。先輩だから。
 普段から体を鍛えてる先輩は、ちょっとやそっとじゃ怪我はしない。
 立ち上がると二段ベッドの上の段の俺の寝床なんか余裕で覗き込めるだろうけど、きっと寝ぼけた先輩は、寝床に戻って寝入るはずだ。

「…………」

 案の定、程なくして下段から静かな寝息が聞こえて来た。


 北島蓮、高校二年生。北島先輩は、うちの野球部の二年生エースだ。
 野球の強豪校でもあるうちの野球部に入部した俺は、

「俺、こいつと組むわ」

 入部早々、何故だか先輩直々に指名を受け、先輩とバッテリーを組むことになった。

 元々が先輩を追って入学したようなものだから、最初こそ驚きはしたけど、俺は素直に嬉しかった。
 先輩から理不尽な命令をされたりするのも運動部のしきたりのようなものだと思っていたし、それらはある種の先輩から後輩への愛情のようなものだと思っていた。

 だけど……。

「ちょ、先輩っ。やだ、やめてっ」

 先輩からのそれはだんだん度を越えていき、やがて所謂、性的なものまで要求されるようになったのだった。


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