仙月についていく

そうか。
ようやく理解した。
俺にそれだけ感覚共通の咒式が張り巡らされているなら、このまま仙月について行った方がいい。
俺の身ひとつで仙月の、龍胆紫の思惑を知ることができるなら。
信用されてないわけじゃない、むしろ信用されているからこその咒式だろう。俺は最初から恐らく潜入捜査の為の駒だったんだ。
槐黄に居ながら龍胆紫の仙月と親しい。お誂え向きじゃないか。
──あの人は信用はできるが信頼は出来ない。
瞭が言っていたあの言葉。
すごいな、先生はあの時から計画を練っていたのか。
「はは、」
槐黄にはすべて好機へと転がっていくだろう。それは間違いないはずだ。
だから俺もこの身をぜんぶ使ってやる。
「仙月」
「なぁに?」
「やっぱりさっきの、頂戴」
「うん?」
「いい夢を見られるんだろ、安全性は保証するって言ってたろ、お前」
好的いいね
「大丈夫、ちゃんと俺にしか使わないから。槐黄にも渡す気もない」
「じゃあ我はシーちゃんの夢にお邪魔させてもらおうかな」
「どういう──、?……んぅっ!?」
「…………っ、」
ごくん。
仙月が小さく呟くのを聞いたと思ったら口を付けられる。大きな抵抗も出来ず、口の中に流れてきた液体を飲まされた。
そのまま口の中へ塗り込むように舌が動き回る。
「……ッ!?」
後頭部をがしりと掴まれ逃げられなくなる。角度を変えて舌を噛んだり、吸われたりしてちゅくちゅくと水音が響く。
「は、…ん、んン…ッ…!」
息が荒くなり鼻で呼吸するのも間に合わなくなりそうだ。
「ん、ふ……、は、……ぁっ、?」
身体が熱い。何だ、何を飲まされている?
「は……、」
咥内の熱い舌がずるりと出ていき、舌同士を繋いでいた意図がぷつりと切れる。
「っは……、はー……っ、お、まえさぁ……ッ!」
「アハハ。ごめんごめんついうっかり味わいすぎちゃった☆」
「うっかりでディープキスまでしてんじゃねぇよ……」
「いいじゃん減るもんじゃないし」
「こっちは色々減るんだよ……、!……ッ、あ?おい、おまえほんとに何飲ませ、た……?」
「……おまえが言ったんだよ、いい夢を見たいって」
「ふざけ……、?」
「……おや、鬼人にはちょっと刺激が強かったカナ?」

とさりと脱力する身体を受け止める。
上手いこと索敵機を無効化できて良かった。
彼から外したピアスを適当に放り投げて、扉を開く。
「……ふふ、」
(仙嵬郷ココにおける彼の未練はあいつだけ。)
(ならば、それを断ち切れたなら。)

(あと少し)
信用を積むのは難しく、信頼を崩すのは容易い。
いくら信じたいと思っていても、ひとつ黒いシミを付けられたならそれが真っ白になることはもう無い。
(さぁ、早く堕ちておいで )


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