Crack Clock
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計時機関 -Horology-

タイム・セルの回収を専門として、125年前に秘密裏に設立されたシュレーフリの特別行政機関。
時計屋の能力を持つ人間を、半ば強制的に業務に従事させるという一面が影響し、国家機関ではあるが公にされていない極秘機関。
機関の創設者である《ゼロ・ユークリッド》の私邸が本部になっており、主に時計屋と補助要員であるタイマーで構成される。


† 時計屋 -Clockmaker-


飛散した86,400セコンドのタイム・セルを回収し、世界に秩序を取り戻すための重要な存在。その身に特殊なタイム・セルを内包しており、本来は目に見えない存在であるタイム・セルを感知して一時的に保持する能力を持つ。
能力は得ようと思って得られるものではなく、適正のある人間に突如として発生する。能力の強さには個人差がある。
計時機関の存在が秘匿されていることもあり、時計屋の人数は極めて少ない。
現在の時計屋総監は《イライアス・フォード》。

確実にタイム・セルを回収する技量が求められ、タイム・セルの抵抗に対抗するためにそれなりの身体能力、場合によっては戦闘力も必要とされる。
秘匿されてはいるが行政機関である計時機関に所属しており、立場的には国家公務員。補助要員であるタイマーと協力して職務にあたる。
自身以外の時計屋を感知することも可能であり、タイム・セルの回収のみならず、新しい時計屋の捜索も大事な仕事である。

成果さえ出せばある程度の行動の自由が認められており、義務付けられているのは定時連絡と『時計屋の三原則』の遵守のみ。ホルダーと呼ばれる時計保持者は、上記二点に加えて《クラック・クロック》の所持と管理の義務が課せられる。


時計屋の三原則

T.時計屋は回収したタイム・セルを保持してはならない。
時計屋はタイム・セルを回収した場合、可能な限り速やかに時計保持者へと引き渡さねばならない。長期間、タイム・セルを保持することで、時計屋もタイム・ドール化することが確認されている。

U.時計屋はタイム・セルを消滅させてはならない。
秩序である時間は欠けてはならない存在であり、万が一にでも消滅させてしまうことがあれば《タイム・セル変性》という現象が起こる。これは、消滅した時間を補完するために『タイム・セルを消した存在がタイム・セルへと成り代わる』現象である。

V.時計屋はタイム・セルに情を抱いてはならない。
時間という秩序を元に戻すため、時計屋は時に非情な方法を使ってでも、確実にタイム・セルを回収しなければならない。故に、時計屋は決してタイム・セル、及びタイム・セルに侵された生体に特別な情を抱いてはならない。


† 時計保持者/ホルダー -Holder-


時計屋の中でも《クラック・クロック》と呼ばれる12個の時計の保持と管理を任された者たち。
その人数は基本的に時計の数と同じ12であり、欠員などで減ることはあっても増えることはない。

クラック・クロックは特殊なタイム・セルを内包した懐中時計であり、ホルダーは各時計に内包されたタイム・セルの片鱗を身に宿す。そのため、ホルダー以外はクラック・クロックを扱うことが出来ず、ホルダーであっても己れの身体に宿ったタイム・セルの片鱗を内包した時計以外を扱うことは出来ない。
原則、各時計のホルダーとなれる時計屋は、同時刻において世界に一人しか存在しない。

そもそも、《クラック・クロック》とは計時機関の創立者であるユークリッドが計時機関創立以前に発見したT〜]Uの刻印が施された12個の懐中時計。
歴史上、初めて確認されたウィルス型のタイム・セルであり《時の遺物》である。(※時の遺物についてはホスティア誓教会の項目も参照。)
タイム・セルを内包し外へ出さないという特性を持つが、時計の竜頭をひき、針を動かすことで外へ出すことも可能。回収したタイム・セルはクラック・クロックの中で管理し、盗まれるようなことがあっては絶対にならない。


† 補助要員/タイマー -Timer-


計時機関に勤める、時計屋以外の職員の総称。実務課・事務情報課・医務課・研究開発課の4課から構成される。
現在のタイマー総監は《アニタ・エーメリー》。
計時機関の存在自体が秘匿されているため、公に職員が募集されることはなく、職員のほとんどが他の行政機関から移動してきた公務員、タイム・セルの事件に関わった被害者、情報の出回りやすいスラム出身者である。

実務課
主な仕事はタイム・セルの関係する異常現象が起こっている地で、時計屋の仕事を補佐すること。
アーキタイプ以外のタイム・セルに対しては物理的な対処方法が可能であるため、戦闘が必要になる場面に居合わせることもあり、身体能力の高い職員が多い。
稀に政府要人の警護などに駆り出されることもある。

事務情報課
主な仕事はタイム・セルに関係すると思われる不可思議な現象に関する情報を収集し、時には現地へ赴き内容を精査すること。
事務情報課の調査によりタイム・セルが関係している可能性が高いと判断された場合のみ、時計屋に仕事がまわされる。
また、計時機関の運営に関する事務的な仕事全般も請け負う。

医務課
主な仕事は職員の健康管理と負傷者の治療。本部の衛生管理や食堂で出す料理の栄養管理なども医務課の仕事である。
医者などの医療関係者が大半を占めるが、掃除や料理のプロ、栄養管理などの専門家も医務課の所属となるため、別名を雑務課。

研究開発課
主な仕事はタイム・セルに関する研究、及び、タイム・セルに有効な機器の開発。
時計屋やタイマーの武器調整なども行う。


† メトロノーム -Metronome-


計時機関で育成されている《秒針》。
タイム・セルによる時間の乱れが生体に影響しないことを利用し、人間が正確に1秒の拍を取り続けることで、時間の経過を把握できるという理論の元に生み出された生きる時計。
幼少期より1秒の体感時間を完璧に身体に叩き込み、一定の精度を得ることの出来た者だけがメトロノームとして起用される。
メトロノーム計画を発案し、実際に育成・管轄しているのは計時機関であるが、政府も積極的に主導している。

メトロノームは体感時間が外的要因に左右されることがないように、閉鎖された無音の暗室にて時間を数える。
万一のことを考慮して常に複数人が時間を数え続ける必要があることに加え、体感時間の精度を満たす人材が不足しており、メトロノームは一人で長い時間を数え続けなければならない。
『無音の暗室に閉じ込められながら正確に拍を刻む』というストレスに耐えられるよう、抑制する方向性で感情教育がなされており、メトロノームとして育てられた者は総じて感情の起伏が小さい。
メトロノームの教育や体調管理は医務課の担当であり、実働するメトロノームの勤務管理は研究開発課の担当となっている。

メトロノームの精度を満たせなかった者は、タイマーとして、主に事務情報課・医務課に配属される。
拍を刻む訓練しか受けてこなかったために、多くは書類整理や掃除などの内勤をこなしつつ、社会的常識を身につけていくことになる。


† 時計屋の真実


時計屋の能力の根源がタイム・セルであることは、計時機関に所属している人間には広く知られている事実である。
時計屋が内包しているタイム・セルは宿主を侵食する力が弱く、時計屋が自身の保有するタイム・セルに侵食されてタイム・ドールになることはまずない。

しかし、タイム・セルを体内に保有している点では、ヒューマンセルやセミ・ドールと何ら変わることがない。時間を秩序の枠に戻すために、ヒューマンセルやセミ・ドールが内包したタイム・セルごと秩序へ戻る運命ならば、当然、時計屋も同じ道をたどることになる。
世界に飛散したタイム・セルの全てを回収し終えたとき、最後に時計屋が保有するタイム・セルと共に秩序に取り込まれることで、初めて全てのタイム・セルが秩序へと還ったこととなり、時間は正しい流れを取り戻す。

すなわち、時計屋となった者は、タイム・セルの回収任務で命を落とすか、秩序に取り込まれて消える運命にある。(※病死・事故死・自死などを除く)
計時機関のトップであるユークリッドと歴代のタイマー総括は、その事実を知りながら全てを厳重に隠蔽しており、過去にこの事実に気付いた時計屋やタイマーは一部の例外を除いて口を封じられている。

時計屋は、世界に秩序が戻ったとしても、その世界を見ることが叶わない存在である。
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