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一方その頃、双子は相も変わらず大騒ぎしていた。「ねぇエルヴィ? なんか聞こえるよね」
「うんでもなんか近くなったり遠くなったりして距離感掴めないね」
現在双子は建物の2階にいる。部屋は一通り見て回ったが、頼りの音がなかなか聞こえない。近くなったかと思うと遠く感じる。
加えて双子は視覚での認知が不得意だから、見て捉えることも出来ずにいる。
「音が大きくなったのはこの階に入ってからだし、この階だと思うんだけどなー。そろそろ真面目に頭がガンガンしてきたし」
「クライド、大丈夫?」
耳鳴りのように響く音が頭に直接来る。幼い身体のクライドには普段より負担が大きい。その証拠に先程から発言こそいつも通りだが、顔を青くしてエルヴィの頭にもたれかかっている。
「んーまあ、まだ大丈夫……」
「無理しないでよ、クライド」
エルヴィが頭上のクライドを見る。と、その時、エルヴィが後ろ向きに体勢を崩した。
背後には階段。しかも、下へ行く階段。
『うっわあぁ、!』
どんがらがっしゃん、と悲鳴をあげて双子は落ちた。振り落とされたクライドは階段の踊場に背からから落下し、挙げ句その上に降ってきたエルヴィを受け止める事となる。
「っいた……クライドっ、クライド! 大丈夫!? 生きてる!?」
「うー…」
エルヴィを受け止めた際強く打ったであろう頭を支えながらクライドは起き上がる。エルヴィの肘が当たった額からは血が流れる。
「ごめんね、クライド、痛いでしょ? 大丈夫? 僕が体勢崩したから……っ!」
「……へーき、だいじょーぶ、」
クライドは錯乱するエルヴィを宥めるように手を伸ばす。
「傷があるの、額だし、血の割に痛くないから」
大丈夫、ともう一度繰り返したクライドをエルヴィは強く抱き締めた。
「今の悲鳴、お前らか!?」
階段の頭上からシセイの声がした。その後ろからはウィリアムの姿も見える。
「うっわクライド、お前大丈夫か!?」
「まー……だいじょーぶ」
「とりあえず応急処置しましょうか」
そういってウィリアムはポケットから出したハンカチを割いて止血する。額以外に目立った外傷もないので、エルヴィはほっと息をつく。
「びっくりしたねー、階段から落ちるとは!」
「心配して損したよ!」
ドールと交戦したが為の悲鳴かと思ってきたシセイは呆れたように言う。そんな心配とは裏腹に、双子は何時も通りだ。
「にしても顔色悪いな、クライド」
「さっき凄い耳鳴りして、その余韻が残ってるというかなんというか……」
クライドがそう零した時、双子が先程までいた2階から何かが割れるような音が響いた。
2012/06/27
制作:黒羽さま