Crack Clock - NPC
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 シセイに抱きしめられた子猫は最初こそ逃れようとしたものの、暫くして落ち着きを取り戻した。それと同時におそるおそる、といった感じでシセイの右腕からその小さな口を離す。

「シセイ猫さんに好かれるの? それともセルに好かれるの?」
「知るか。早く回収してくれ」

 子猫がおびえないように、されど逃がさぬようにと子猫を抱くシセイの顔のほうに立っていたクライドがその幼い顔に無邪気さを貼り付けてたずねる。それをうんざりしたように跳ね返すシセイは、クライドの手に回収するために必須の時計が握られていないことに気づいた。

「お前、時計は」
「今ね、エルヴィに預けてるから持ってないんだ」
「何でだよ……」

 エルヴィはというと、現在子猫とシセイを囲むちびーずでも子猫がおびえてしまうのにさらに大きな体である彼らは近くに来ないほうがいいとの判断でエルヴィ含む大きい組は少し離れたところで待機している。何故クラック・クロックを持たないまま天井に上ったのかと問われれば、この双子は単純にどっちが持ってるか忘れていたと答えるだろう。

「つかお前そんな近くに来てなんでそんな元気なんだよ? さっきまで見る影もなく青い顔してたくせに」
「いやあなんでだろうねぇ、エルヴィと一定以上の距離離れてるからじゃない?」

 ひとつの時計を共有する双子の時計屋としての能力は、二つの身体に分割されている。本来ひとつであったその力は引き合うように、双子が一緒にいるときに本来の性能を発揮する。逆に言えば、片割れだけでは非常に役立たずである。時計屋としての精度が下がるということはつまり、セルの感知能力も弱くなるということ。
 この状況においてはなんとも羨ましいことだと思いつつ、起き上がれないために狭い視界の中見渡せば確かにエルヴィ達は遠い。

「じゃあ私が、」
「あああああ待ったミレイユそんないきなりは駄目つかいって痛い!」
「わあああすみません!!」

 ミレイユが一歩踏み出すと同時に子猫が大きく体を跳ねさせ、再び暴れだす。その際子猫の爪がシセイの腕を抉り、反射的に力が緩んでしまう。力が緩んだ隙に子猫はするりと腕を抜け出し、走り出した。

「あっこら待てにゃんこ!ハチヤ!行った!」
「わかっ……っ!」

 子猫はハチヤが捕らえようと伸ばした腕を伝い、屈めた身を軽やかに乗り越え、あっさりと突破する。それをシセイより早くに走り出したミレイユとクライドが追いかけるが流石は死に物狂いと言ったところか、するりするりとにげられてしまう。

 そうして最終的に向かった先は、先ほどから待機している残りのメンバーだった。



2013/01/16
制作:黒羽さま

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