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見つけ出すのに時間がかかってしまったが故の、やりきれない終幕。仕事だと割り切っているとはいえ、気持ちのいいことではないそれを、誰がやるのかと一瞬だけ視線が交錯する。はあ、とため息をついたのは誰だったか。
ほぼ同時に全員が回収の為に動き――結局、誰の行動がそれに繋がったのかも分からないまま、呆気なく騒動の元凶は眠りにつく。見た目が可愛らしいこともあって、問題を解決したというのに何も言えない。
沈黙を破ったのは、テンの言葉だった。
「さてと、とりあえずこっから出ない?」
暴れまわっていたこともあって少々埃っぽい空気。今さらになって、息苦しさが来る。先頭は、ユークリッド。続いてぞろぞろと外に向かって歩いていく仲間たちを尻目に立ち止まったシセイは、大きく息を吸い込んでみた。
「……あー、やっぱりセル臭い」
胸焼けするような、甘さ。
行き場のない感情が沈殿している胸に圧し掛かってきた空気に、小さく舌打ち。自業自得とはいえ、イラつくものは仕方がない。結果のわかり切っていることをどうしてやってしまったのか。そんなの、答えは簡単だ。子供らしい、感傷。
「シセイ、どうした?」
「……別にー?」
動こうとしないシセイに気付いたらしいルイスが声を掛けてきたことにより、シセイの思考は浮上する。息をすると、また思い出すから。
「ほら、さっさと出ようぜ」
止まっていたのはお前だろう、と零すルイスの背をぐいぐいと押しながら、シセイも歩き始める。こちらの気を引こうとする匂いは無視をして。そこにいたのだという残り香の詰まった部屋は、やや乱暴に閉じられた。
明るい場所に出てから改めて自分たちの格好を見てみると、思っていた以上にひどい。恐らくは最後の騒動が原因だろうが、埃を被っていたり、破けていたりと散々な状態である。少し慣れたとはいえ、普段とは異なったサイズであることも、距離感を図り辛かったという意味では大きく関係しているのかもしれない。
自らの状況を確認し、続いて、周囲の状況を確認。そこにきて、ようやく誰かが声を上げた。
「……あれ?」
セルを回収したというのに、未だに体への異常が治った人間はいない。まあ、この状況で治ったとしても、少々困る人間もいるのだが。主に、縮んだ組。
「……まあ、ドール化したセルでしたし、元通りになるまではもう少し時間がかかるんでしょうね」
ミレイユが冷静に分析したソレに、理解することを拒否していた現実を受け入れざるを得ない。
「もう少しって、どれくらいだよ……」
はあ、とため息をついたのは誰だったか。
2013/03/20
制作:雲房十時さま