03
夢と現の合間でメトロノームの告げる鐘の音を聞いた。うっすら目を開けると朝日が差し込んでいるのが分かった。
起きるか、と思い上半身を起こし、ふと隣で寝ている筈の双子の弟……エルヴィがいないことに気づく。
「エルヴィ?」
辺りを見回してもそれらしき姿は見えない。とりあえずベッドから降りようといつものように足を下ろすが、届かない。それどころか、ベッドから滑り落ちてしまった。
「いたた……何でだ?」
改めて自分の体を見下ろす。
「……縮んでる」
縮んだ手に足。心なしか天井が遠い。
もう色々大きく感じた。
髪が今より少し長く、身長が低くなっていることから、まだ実家にいた10歳前後だろうか。
(エルヴィも小さくなっているのだろうか)
改めて辺りを見回す。エルヴィのことだから、寝ぼけてその辺に倒れているだろう。
2つ並べた机の裏側を覗けば案の定見慣れた弟が寝息をたてていた。
「エルヴィ、起きて、朝だよ」
「……ん」
軽く揺さぶれば何とか目を覚ました。
まだ寝ぼけているようで、焦点の定まらない目にクライドをうつした。
「……クライド? え、クライド!?」
「そうクライドだよ」
かと思えば飛び起きて小さなクライドの肩を掴む。
「何で何で!? クライドちっちゃい! 何これ!」
「エルヴィ、落ち着いて。多分セルが紛れ込んだんだよ」
そういうエルヴィの方は背丈は数pしか変わらないものの、顔つきはいつもよりも大人びている。
「こうして見ると双子じゃないみたいだね!」
いくらか低い声でエルヴィがクライドを抱き締めて言う。クライドは苦笑しながら、エルヴィの肩を叩き離してもらう。
「とりあえずエルヴィはいいけど僕の服、どうしようか」
「シャツ一枚じゃ色々危ないしね。じゃあとりあえず着れそうなのを探すっ!」
「あればいいけど……」
騒々しくクライドの服を探し始めた双子。
見つかるまでもうしばしかかりそうだ。
2012/02/06
制作:黒羽さま