07
晴れた空に女性特有の高い声と鈍い音が響いた。「痛いよトゥーリアぁ……」
「知りません、自業自得です」
ぐしゃっと握りつぶしてしまった書類を伸ばすトゥーリアの足元で、拳骨をくらい頭を押さえて座り込むクライドがいた。容赦のなく放たれた拳骨に涙さえ浮かべている。
「クライド、大丈夫?」
「大丈夫ー……」
エルヴィが頭を撫でてくれたため、多少痛みは引いた。とりあえず立ち上がろうとするといつもより長い髪を踏んで、前のめりに転んでしまう。
「……ハッ」
顔をあげるとテンにミレイユにはさまれているシセイと目が合い、先程の報いだと言うように鼻で笑われた。とはいえ、シセイも人を笑えるような格好ではないのだが。
「いいですか、皆さん。今回侵入してきたセルについて説明いたします」
まだ眉間に皺は寄っているが、落ち着きを取り戻したトゥーリアが話し始める。紙はなんとか元通りのばせたようである。
先程まで騒いでいた双子も大人しくトゥーリアの方を向き、テンとミレイユもシセイから少し離れ耳を傾ける。
「今回侵入してきたセルは、ドールだと思われます。動き回るので、気配を辿りつつ探さなくてはなりません」
「そうなると、頼れるのはテンだけか」
シセイが自らの隣のテンを見上げ言う。テンも当たりを見回し、イルがいないからかと納得している様であった。
「テン、気配感じる?」
「んー……ちょっと遠い……かな? 多分、あっち」
目を閉じて気配を探ったテンが指さしたのは、時計屋の部屋がある建物。その指差した先を確認したエルヴィはクライドを見て、クライドも頷く。
「行くよクライドー!」
「うん了解ー!」
「あ、待てよ!」
幼いクライドを肩車して、勢いよく走り出すエルヴィ。それにつられて女装させられたまま走り出すシセイ。少し遅れてテンとミレイユ、ハチヤも後を追った。
2012/04/15
制作:黒羽さま