つん、とスプーンの先で黄金の山をつついた。
振動で震え上がったそれは、お風呂上りのカナコにとってとても艶めいて見える。にんまりと口元を弧に描いてひと匙すくう。何度も食べたことがあるから味はわかっている。わかっているけど、買ってしまう。彼女の大好きなスイーツ。口に頬張ると、目をきゅーっとさせてカナコはうな垂れた。
「はあ〜っ、プリン、最ッッ高……」
口の中で甘みがとろける。ダイエット中のカナコにこの糖分は毒に違いない。それでも残業続きだったから、休みの前の金曜日に買うと、前もって決めていた。もはや脂肪に変わろうと後悔はしない。
もうひと匙、すくう。カナコのこだわりは、プリンは皿の上に落としてから食べること。ふるふる震えるプリンをいじめながら食べるのが彼女の嗜好だった。特に好きなプリンは真っ白の牛乳プリンではなくて、卵がたっぷり使われているのが見た目でわかる黄色いプリン。カラメルが底にあるプリンだと尚良し。底が見えてきたら黄色いところと、カラメル部分を一緒にすくって一緒に食べる。甘さと苦味が一緒になって、一番幸せに美味しいところだ。
明日は思い切りだらだら休んで、また明後日から仕事を頑張ろう。カナコはスプーンを口でぷらぷらさせながら、最後のひと匙をすくった。