一位、総合点数、四百九十八点。
今期の五教科のテスト発表。その点数を叩き出した彼の名前を睨みつけて、私は歯を剝き出しにして唸った。
――またあいつに負けた……!
オーガスト・オーギュスト。小学校の時からずっと腐れ縁である彼に、高校一年の時も、二年の時も、そして三年生の二学期も。全ての成績が負け続きだった。
ぐしゃり、と手に持っていた自分の成績結果を握りつぶす。くそ、くそ、くそ。いったいいつになったら私は彼に勝てるんだろうか。
悔しい。私は握りつぶした成績結果を再度開いて確認する。私も決してバカではない。オーガストは一位だが、私の総合成績は二位。どの成績が劣っていたのか見てみると、魔法を使った化学の成績が二点ほどあいつより低かった。
今日こそは、オーガストに勝てると自信があったっていうのに。
ざわめきあう渡り廊下の隅から、友人のテトロが私のもとにやってきた。金色の波打つ髪を揺らせば、周りにいる男子がぽっと頬を染めて彼女を見ている。
「ユスリカ! すごいわね。また二位だわ!」
天然な彼女は、無意識に私の神経を逆撫でする。
「そう、"また"二位よ……あんちきしょうめっ!」
地面に成績結果を叩きつけた私を見て、テトロがはっとして慌てた。テトロは、オーガストと私の関係を知っていたからだ。
「何をどうやったら、こんな成績を取れるのよ。この私でさえ、四百九十六点よ。絶対、何かしらずるでもしてるに違いないわ!」
「ゆ、ユスリカ……」
何よ、と言いかけたところで、後方からひときわ大きなざわめきが聞こえてきた。人の波がモーゼの十戒のように両脇に避け、その間を悠々と通る人間が一人。その姿を見て、私は親の仇を見たかのように睨みつける。
あの姿こそ、私の最大の宿敵。オーガストだった。
オーガストは私を見かけると目元をわずかに弓なりにして、真っすぐにこちらにやってくる。女子たちの黄色い声も聞こえていないようだ。「やあ」と短く言って片手を上げる彼を無視して、私は思い切り言ってやった。
「これはこれはオーガストくん。ご機嫌うるわしゅう」
「ありがとうユスリカ。ユスリカも元気かな。僕はまた君を抜いて一位になったから、当然気分がいいよ」
キイイイイィイイィイイ!
私は髪を搔きむしりながらその場で地団駄を踏んだ。これよ! これだから! 私はこいつが大嫌いなのよ!